中国、日本、韓国の自由貿易協定(FTA)をめぐる第6回交渉がスタートした。日本の指導者の誤った言動が日中関係と日韓関係を冷え込ませ、日本がFTAをめぐる中韓との交渉である程度現実的な態度を示し、中韓FTAが貨物貿易について交渉をまとめたという状況の中、今回の交渉が打開点を見いだして前進し、一定の進展を遂げることを願う。(文:梅新育・商務部研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
東アジアが、特に発達した北東アジア市場が日本経済にとって重要であることは言うまでもない。とりわけ中国はグローバル経済や世界貿易に占める割合が持続的かつ急速に上昇しており、2013年の国内総生産(GDP)は日本の2倍に達した。中国はすでに世界2位の輸入大国であり、大国の中で経済成長率、輸入増加率が最も高く、マクロ経済の安定性でも一、二を争う国であり、ほとんどの人が世界市場にある産業や企業は、高度成長を遂げる大きな中国市場に食い込むことができなければ、世界の産業界のトップクラス入りする夢がかなわないことを知っている。
日本はこれまで、中国市場から力を借りて発展を遂げるというやり方に成功してきた。中華人民共和国建国初期には、米国が西側諸国を動員して中国に全面禁輸の圧力をかける中、日本は対共産圏輸出統制委員会(COCOM)の「中国委員会」に加わりながら、中国により過酷な要求を突きつける「中国差別」を緩和するよう英国とともに率先して要求し、COCOMの「例外プロセス」を迅速に活用して対中貿易を発展させた。1972年の米ニクソン大統領の訪中を受けて対中全面禁輸が解除されると、日本は西側諸国の中で最も早く柔軟な各種の貿易融資ツールを大規模に運用して中国市場を切り開き、長い期間にわたって中国にとって最大の貿易相手国だった。「メードインジャパン」は中国市場で高い評価を得てきた。