「こうした場において、業界団体が政府の対策に反対を示した場合に最も大切なことは、科学的データを整理し、企業や業界団体と共有することである。マスコミの力を利用する方法もある。日本ではマスコミの論調が政府の政策に大きな影響を与える。マスコミが理解を示せば、政府と企業の話し合いはスムーズに進む」と先の関係者は話す。
日本の企業に環境基準をいかに受け入れさせるかについては「日本は2004年から揮発性有機化合物の排出に対する規制を始めた。事前に政府が関係業界団体と行った協議で、業界側から厳格な排出規制は望まない旨の意見が提出されたため、30%の削減目標という妥協策がとられた。また削減方法については、企業側に任され、業界にガイドラインを制定するように命じた。そして企業が目標を達成できなれば政府の強制措置により経営上の大きな影響を受けるようにした。また目標を達成しても褒章を与えるようなこともしなかった。褒章を受けることを目標達成の動機にさせないためであった。」
主体的な情報公開
中国では現在、「環境保護法」が制定され、「大気汚染防止法」の改定草案が審議されている。立法以外にも一連の行政措置がとられている。
こうした動きに対して日本の環境省は「日本の政府と企業は、中国の大気汚染対策に対して大変注目している。日本は排出削減とともに、中国とも協力関係を続けていく。大気汚染の観測システムなどの技術だけでなく、汚染情報公開などの制度についても中国側に提供していく」と考え方を示している。
「日本では、企業は自ら環境保護活動を実施するだけでなく、排出物に関する情報を外部に公開しなければならない。企業が規制に違反すれば、企業名が政府によって公表される」という。
「有明清掃工場」の展示室には、排出関連のデータが公開されている。二階堂工場長によれば「排出データは1時間ごとに更新される。プリントアウトもされるので、住民や環境団体の人はいつでも見ることができる。またインターネットでも公開しており、工場側も来訪者の質問にいつでも対応している。工場のすぐ外には電子モニターを設置し、排出データを表示している。設置した当時は毎日住民が来てデータを記録していたが、最近はその姿をほとんど見ない。データの真実性について疑問を持たなくなったためと思われる。職員がデータを変更できないしくみになっているし、第三者機関の検査や監督を受けているためである」と話した。
「チャイナネット」 2015年2月16日