▽調整・布陣には進退あり
商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は取材に答える中で、「外資系企業がサービス業に注目するのは中国の経済構造調整と多国籍企業自身のグローバル事業調整を受けた必然的な選択だ。産業のバージョンアップと経済構造調整という大きな背景の下で、ここ数年、中国のサービス業は急速な成長を維持し、技術的な要求が高いサービス業に対する海外からの投資も急速に伸びている。また中国製造業自身の発展にともなって、外資系企業の中国での製造事業の強みが徐々に失われ、低レベルの製造業から撤退してハイレベルの製造業に向かう流れが外資系企業が中国の経済発展に適応する上での必然的な選択となっている」と述べた。
データをみると、サービス業の売上高が30兆7千億元で同8.1%増加し、国内総生産(GDP)の増加ペースを0.7ポイント上回った。サービス業売上高の対GDP比は48.2%に達して同1.3ポイント上昇し、第12次五カ年計画(2011-15年、十二五)で確定された目標値の47%を上回った。サービス業への固定資産投資は16.8%増加し、固定資産投資全体に占める割合は56.2%に上り、05年以来の最高を記録した。
中国経済構造の調整とサービス業の急速な伸びを受けて、外資系企業は主体的な調整を行わなければ中国経済の「新常態」(ニューノーマル)の要求に適応できなくなっている。
マイクロソフトがノキアの携帯電話事業とサービス事業を買収した後、もともとノキアが所有していた中国の携帯電話生産工場2カ所を段階的に閉鎖するようになったことについて、商務部の沈丹陽報道官は、「これは一つには世界と中国の携帯電話産業の市場競争の激しさにより、市場の局面に大きな変化が生じたということだ。また一つには多国籍企業自身のグローバル戦略調整の結果でもある。多くの日本企業が生産ラインを新たに中国に移す計画を立てており、たとえばパナソニックは最近メディアに対し、福島県にあるルミックスブランドのデジタルカメラ生産ラインの一部を廈門(アモイ)に移転することを決定し、今年5月までに移転を完了させる計画であることを明らかにした」と話す。