国務院の李克強総理は5日に発表した政府活動報告の中で、国内総生産(GDP)の成長率を7%前後とする今年度の目標値をうち出した。これはここ10年間に政府が確定した目標値の中では最も低い数字だ。政府活動報告はさらに、この成長ペースによって長期的な発展を維持し、近代化された物質的な基礎をより厚いものにすることをうち出した。新華網が伝えた。
北京大学国家発展研究院の盧鋒教授は、「7%という成長ペースは中くらいの成長であり、中・長期的な発展局面から考えて、中国にはこのペースで20年間成長し続ける潜在力がある」と話す。
李総理は今年初め、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席した際、「中くらいのペースでさらに10~20年間発展し、中国の姿は改善を続け、世界により多くの発展チャンスをもたらすことになる」と述べた。
中国の経済規模は10兆ドル(1ドルは約120.0円)に達し、基数が拡大しているため、たとえ7%の成長率であっても、年間の時価の増加額は8千億ドルを超え、5年前の成長率10%の時よりも増加額が大きくなっている。これは中レベルのエコノミーを毎年1カ国生み出しているのに相当する数字だ。
政府活動報告によると、経済成長率の目標値を7%とするのは、需要と可能性を踏まえてのことであり、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的実現という目標に関連するものであり、経済規模の拡大と構造のバージョンアップという要求に対応するものであり、発展の法則に合致し、客観的な現実に合致するものだという。
全国政治協商会議の委員を務める経済学者の林毅夫氏は、「中国のような発展途上国によとって、新常態(ニューノーマル)の下で経済の中くらいのペースの成長を維持し、中の上の水準へと移行する『2つの中くらい』は、可能であり、必要なことだ」と話す。
林氏は、「そうでなければ、先進国との所得格差の縮小ペースが鈍化し、中国の2020年をめどとした発展目標の実現にも影響を与え、さらには雇用、金融、財政などにも問題が生じる可能性がある」と話す。
また林氏は、「中国にはなお後発組としての大きな強みがあり、技術のイノベーションであれ、産業のバージョンアップであれ、環境の改善であれ、はたまた都市化であれ、大きな潜在力を備えている」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月6日