国内31省・自治区・直轄市が発表した2014年度の経済発展業績リストをみると、雪の降る高原地帯にある西蔵(チベット)自治区は改革のさまざまなメリットや恩恵の下で、国内総生産(GDP)が925億元(1元は約19.4円)に達して、成長率12%を達成し、21年連続で2けたの成長を遂げた。新華網が伝えた。
15年の西蔵自治区政府活動報告によると、14年の域内のGDPは925億元で前年比12%増加し、社会消費財小売総額は同12.9%増加し、公共財政予算の収入は同30.8%増加し、農村部住民の一人あたり平均可処分所得は同14%増加した。こうした経済指標の伸びはいずれも全国でトップクラスにある。
▽「チベットの速度」なぜ維持できる?
中国蔵学研究センターの廉湘民研究員は、同自治区が高い成長ペースを維持する理由について、「これは主に西蔵経済の特殊性によるものだ。西蔵経済は21年連続で2けた成長を遂げはしたが、経済規模は小さく、GDP規模は全国の1.45‰に過ぎない。また全国で唯一のGDP規模が1千億元以下にとどまった省・市・自治区でもあり、成長への大きな潜在力を秘めているといえる」と分析する。
廉研究員は、「西蔵経済は主に投資が牽引しており、中央政府と各省・市・自治区からの支援が西蔵がGDPの高度成長を維持する上での着実な基礎になっている」と話す。
同自治区は今年、投資による牽引や、産業による支援、貧困対策の難題解決を強化し、経済の持続的で急速かつ健全な発展を促進していく。また社会全体の固定資産投資を1300億元以上とし、増加率が同20%を超えるようにする。
また青蔵鉄道の拉薩(ラサ)-日喀則(シガツェ)間を走る支線の開通、かつてネパールとの最大の貿易窓口だった吉隆県の開放拡大、同自治区に乗り入れる2本目の鉄道路線・川蔵鉄道の建設工事着工、同自治区が今年うち出した環ヒマラヤ経済ベルトの構築といった諸々の有利な要因が、同自治区の経済の内在的な成長を促す新たな動力になるとみられる。
西蔵経済発展に注目する専門家たちは、「中央政府の投資と全国からの支援があり、さらに西蔵自身の発展の力が絶えず強まっていることから、(今年も)基本的に12%という高度成長の達成には問題がない」との見方を示す。
西蔵大学経済・管理学院の図登克珠院長は、「西蔵の経済は典型的な投資依存型の経済であり、今後の発展ではぜひとも『2本の足』で歩けるようにする必要がある。ハダカムギ、天然の飲料水、チベット医薬、農業・牧畜業などの特色ある産業の育成を急ぎ、観光産業などの第3次産業の発展を絶えず推進することが、西蔵の資源面での強みを経済成長に転化させる上での動力になる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月12日