日本の菅義偉内閣官房長官は17日の記者会見で、日本のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加について、「日本は慎重な態度を取る。今のところ参加は考えていない」と述べた。この問題で、日本は「兄貴分」の米国のメンツを立てなければならず、また自国の利害得失について慎重にそろばんをはじいてもいる。だが筆者が思うに、日本がAIIBを拒絶するのは理性的な選択とはいえない。これは自国の発展のチャンスを部分的に放棄することを意味するからだ。「環球時報」が伝えた。(文:周永生・外交学院日本研究センター副センター長)
中国がAIIBの設立を提唱すると、米国はまず日本に連絡を取り、参加しないよう求めた。日本は米国の勧告に配慮せざるを得ない。日本が最も懸念するのは、AIIBが発展して、日本と米国が主導するアジア開発銀行(ADB)が片隅に追いやられること、AIIBがライバルになることだ。そこで日本はAIIBを複雑な思いで見つめている。日本は中国がAIIB支援など金融面での手段を用いて、アジア地域の金融の主導権を握るとともに、AIIBをはじめとする金融機関をよりどころとして、アジア・太平洋地域における影響力を拡大することを懸念する。
こうした考え方は日本の立場に立てば合理的なものだといえる。西側の現実主義の論法では、新興国が急速に発展した結果、遅かれ早かれ経済など諸分野を手始めに先進国から権限を奪うことは確実だからだ。日本がアジアの金融分野での強い立場を維持するため、中国を牽制しようと考えるのは当然の流れで、牽制する理由はいろいろ考えられる。日本はAIIBを拒絶する理由を、融資の審査や組織運営に不安があるからだとしている。
中国はAIIBの設立を呼びかけた際、ます最初に世界で通行するルールに基づいて準備を進めることを明らかにし、参加を希望するすべての国にともに準備に関わり、ともに運営に加わることを求めた。中国は500億ドル(1ドルは約121.3円)を出資し、出資比率は50%に達するが、参加する国が増え、多額の出資を希望すれば、中国の出資比率は下がることになる。AIIBは理事会や取締役会の形で管理がなされ、参加各国は理事として会議に参加する。これは世界で共通する国際金融機関の管理モデルだ。また欧州の多くの国が参加することも、日本が抱く中国がAIIBを密かに操作するのではないかとの懸念を解消させる。