シンガポールのリー・クアンユー元首相が23日、病気のため逝去した。中国の習近平国家主席が弔電で述べたように、リー氏の逝去はシンガポール国民にとって損失であり、国際社会にとっても損失だ。(文:鄭永年・シンガポール国立大学教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
私はリー氏と何回も会った事があり、心から敬服している。リー氏はシンガポールの国父だ。シンガポールは独立後、たった1世代で貧しい第三世界の国から第一世界の国へと台頭した(リー氏の言葉)。世界にそのような国は他にない。世界に多くある小国のうち、そのように発展できた国はいくつあるのかを知る必要がある。北欧のいくつかの小国も、100年以上かけてようやく発展したのだ。
第2次大戦後の反植民地独立国家中、リー氏は最後の政治的実力者だった。リー氏は中国人から高く評価されるだけでなく、世界の認める戦略家、政治家だった。リー氏はいたずらに理想を語るのではなく、実行可能な理想を語った。現実主義の理想主義者であり、常に国益を重視した。シンガポール人はリー氏に非常に敬服している。リー氏はシンガポール全体の利益のために行動したからだ。
リー氏には自らの決断があった。リー氏が西側メディアに語った有名な言葉がある。大体の意味としては「私はシンガポール国民の選挙で選ばれたのであり、あなた方の選挙で選ばれたのではない」と言うもので、政府の政策がシンガポールの政府と国民の長期的利益のためでさえあれば、一時的に反対する人がおり、外国メディアが悪意をもって批判したとしても、断固として遂行していく必要があると考えていた。
リー氏とシンガポールの成功は、自らの道を揺るがず歩んでこそ成功でき、他人の言うことを気にする必要はないということも十分に証明した。これはリー氏が中国に与えた第1の啓示だ。