2014年4月に日本で出版された村上春樹の最新短編小説「女のいない男たち」は、村上春樹が「東京奇譚集」から9年ぶりに短編小説に回帰した作品。同短編集が25日、中国のオンラインショップと書店で同時発売される。南方都市報が伝えた。
村上春樹は全6編からなる同短編集について、音楽で言えば「コンセプト・アルバム」(まえがき)に相当する短編集だと語っている。まさに村上春樹自身が小説のまえがきで綴(つづ)っているように、短編6編すべてが、「女のいない男たち」というコンセプトを巡って展開されていく。登場人物はすべて、自分にとって特別な女性が去ってしまった、あるいは去ろうとしている男性ばかりだ。若者の喪失感や焦燥感に重きが置かれていた早期の短編とはこの点が異なる。
村上春樹の御用達翻訳家である林少華氏はこれまで40作品を超える村上作品を手掛けてきた。今回の新作短編集の翻訳者の一人でもある林氏は、「今回、村上春樹氏の文体に改めて心服させられた。内省的で、含蓄がありながら優しさが失われていない。奥深く、捕えがたい内容にもかかわらず、薀蓄や質感が失われていない文体に再度感動させられた。一つの比喩を用いて表現するとしたら、私は自分がまるで年老いた木工職人のように感じる。久しぶりに斧やのみを手に取り、芳しい原木の香りを放つ木版を前にして、身体の中からふつふつと快感が湧き出てくるようだ」と語った。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年3月25日