▽金融政策には頼れない中国の構造調整
昨年末から現在まで、中国経済の下方圧力は高まり続けている。流動性不足を緩和するため、中央銀行はしばらく前、新たな流動性管理と融資総量管理のツールを繰り出し、金利と預金準備率も引き下げた。
これらのツールは、通貨供給量を増加させるものだが、総量と速度から見て、中国の通貨政策は依然として穏健なものと言える。周総裁によると、これらのツールの使用量は以前より大きくなったが、中国経済全体やGDPも以前よりはるかに大きくなっている。そのためこうしたツールの使用による融資拡張の速度や通貨供給総量の拡張の速度は、名目GDPの拡張速度より2、3ポイント高いにすぎない。こうした量の制御はかなり穏健と言えるもので、経済刺激計画の時期の拡張幅を大きく下回っている。
金融緩和政策は一時的に経済を刺激することはできるが、経済の問題を根本的に解決することはできない。オランダに本拠を置く「ラボバンク」のアジア太平洋金融市場研究部のMichael Every代表は、「中国経済は現在、債務の高止まりやデフレなどのリスクに直面している。これらの問題は系統的なものであり、周期的なものではない。そのため通貨政策は、有効な解決の手段ではなく、短期的な経済の不調を一時的に緩和するものでしかない」と分析する。
「新常態(ニューノーマル)の下での穏健な通貨政策は、経済成長を支えると同時に、構造改革を促進するものでなければならない。過度な緩和政策は構造改革に不利となる」と周総裁は語る。