病院で順番待ちの長い列に並ばなければならない、農村の医療施設のサービスレベルが低いといった医療・衛生体系の問題を解決するべく、中国は2020年までに総合診療医の数を約2倍に増やし、公共部門を削減し、医療技術を改善していく方針だ。シンガポール紙・TODAYの報道を引用して環球時報が伝えた。
マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、急成長を遂げつつある中国の医療衛生市場は、世界中の医薬品メーカー、医療機器メーカー、病院関連業者を引きつけており、これらの企業は皆、2020年には1兆ドルの市場規模が見込まれる中国の医療市場から利益を得たいと考えている。
中国が3月31日に発表した「全国医療衛生サービス体系計画要綱(2015—2020年)」では、「医療衛生資源の総数の不足、質の低さ、不合理な構造と配置、サービス体系の断片化、一部の公立病院の不合理な規模拡大といった問題が依然突出している」と指摘されている。同計画要綱は医療衛生関連の2015年~2020年の目標を定めたもので、例えば北京市では2020年までに1千人あたりの総合診療医の数を2人に引き上げるとされている。この数は2013年末と比べるとほぼ2倍で、看護師や補助スタッフの数もこれに応じて増やしていくという。
中国の医師不足の原因のひとつに賃金の低さがある。この問題は、一部の大都市の病院でボトルネックの問題となっており、さらには医師と患者の関係悪化を招いている。
計画要綱によると、中国はこのほか、モバイル端末やクラウドシステムなどの技術を駆使して一部の問題を解決していく。これはIT企業にとっては潜在的なチャンスとなる。中国は2020年までに、全国民をカバーする電子カルテのデータベースを構築する計画だ。
中国政府にとって、「高い医療費」問題を解決することは重要な政策のひとつだ。最近では、医療分野の腐敗にもスポットライトが当てられ、調査の手が及んでいる。医療保険の適用範囲が狭いため、診察を受ける患者は往々にして多くの負担を強いられる。計画要綱は、「急速に発展する基層の医療衛生事業の発展に力を入れると同時に、都市中心部の大型公立病院の規模を厳格に規制する」としている。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年4月1日