沖縄県の翁長雄志知事は昨年の知事選で、二枚の旗を掲げ、仲井真弘多前知事を破った。一枚目の旗は、名護市辺野古の米軍基地新設への断固反対である。これは、日本政府が沖縄の利益を犠牲にして日米安保条約の強化をはかり、情勢を緊張させることに反対するものである。二枚目は、アジア経済戦略構想である。これは、中央政府の補助金に頼らない自立した経済を沖縄が実現するための手段となる。(文:凌星光・日中科学技術文化センター理事長、福井県立大学名誉教授。環球時報掲載)
翁長知事の新基地反対は、日本の政治家の一部に不満を引き起こしている。各方面の圧力を受けた翁長知事は、これに対して3つの策を取っている。第一に、沖縄県以外の日本人の同情と支援を集める。第二に、米国に駐在員事務所を設け、米国政府と有識者に訴える。第三に、アジア経済戦略の構想を進め、日本と周辺国との架け橋になる。
5日に菅義偉官房長官と会談した翁長知事は、「沖縄は平和の中で初めてソフトパワー、自然、歴史、伝統、文化、万国津梁の精神を発揮し、世界の架け橋となり、日本のフロントランナーとなる。経済的にも成長し、平和の緩衝地帯として、他の国々と摩擦が起きないように努力する場所となる」と述べた。この方針を実現するため、翁長知事は13日、日本国際貿易促進協会の河野洋平会長の率いる訪中団に、4人の経済・外交ブレインと同行し、中国訪問を実現する。
沖縄は、琉球王国の時代から、貿易立国の道を歩み、約500年にわたって経済・社会の繁栄に成功した。地理的には、日本列島の端にあると同時に、東アジア共同体の中心に位置する。沖縄経済は新たに盛り返す可能性を秘めている。沖縄の政府と県民は、本土を中心とした経済を国際協力の経済へと転換し、アジア各国と日本との架け橋となることを望んでいる。沖縄は、日本政府による観光ビザ緩和の特殊政策を受けており、大陸部や台湾、香港からの観光客が増え、観光業も盛り上がっている。沖縄は、経済的な主体性を強め、改革によって経済を発展させ、さらには日本全体の改革と経済発展を促す力となることを願っている。