中国が保有する米国債を減らす。このことは人民元の国際化や国際金融市場で中国が主導的な役割を発揮する上で、非常に重要な現実的意味をもっている。「国際金融報」が伝えた。
周知のように、第2次世界大戦以後、米国はブレトンウッズ体制を確立し、米ドルを国際準備通貨および決済通貨にした。米国のたびたびの無責任な態度により国際金融危機が起こったが、米国はそれでもなお世界の通貨市場の主導権を握り続け、国際通貨基金(IMF)を通じて国際通貨市場における米ドルの覇権的地位を固めてきた。IMFは改革プランを何度も打ち出して、中国の議決権比率を引き上げ、人民元をIMFの特別引出権(SDR)の国際通貨バスケットに入れようとしたが、中国の台頭を恐れた米国により、SDR改革の問題はいつもかけ声倒れに終わっていた。こうした背景の下で、中国は別のやり方をせざるを得なくなり、新しい国際金融機関を設立して、IMFに徐々に取って代わることを目指すようになった。言い換えれば、中国が米国債を減らすのは賢明な選択ということだ。こうすることには現実的な意義もあれば、長期的で戦略的な意義もある。
具体的には次の4つの意義がある。
第一に、貿易バランスの原則という点から考えれば、中国はすでに重商主義の貿易理論からは完全に自由になっており、貿易バランスを中国の対外貿易展開における基本原則とし、対外貿易発展の過程ではもはや貿易黒字を追求することはせず、各国とバランスの取れた貿易関係を構築することを願っている。今後、中国の対米貿易黒字は徐々に減少し、中国が貿易黒字によって獲得した外貨の米ドルも徐々に減少することが予想され、こうした環境の中で米国債を減らすことは、中米両国の貿易関係を改善し、米国頼みから徐々に脱却する上で実質的な意義があるといえる。
第二に、中国の外貨準備には米ドルが大量にあり、米国が無責任な金融政策を採ったために、中国の米ドル建て外貨準備は重大な損失を被った。米国政府は量的緩和に基づく金融政策を引き続き実施することは他国に損害を与え、かつ自国にも利益にならないことだと気付いているので、金融政策を少しずつ調整してはいるが、全体としていえば、米国の経済はいまなお信用経済に属しており、米国経済の発展の過程で重大な外部性をもつようになっている。もしも中国が大量の米ドルを保有し続ければ、中国の外貨準備は巨大なリスクを抱えることになる可能性がある。そこで中国政府は一方では外貨運営のリスク引き下げを検討し、外貨構造を早急に改善する必要に迫られている。もう一方では適切な対策を取って、外貨管理の問題で米国からの制約を回避する必要に迫られている。これはつまり、中国が貿易バランス政策を追求すれば、米ドルが減少するということだ。外貨準備のリスクを軽減するためにも、米ドル建ての外貨準備を大量に減らす必要があるということだ。