今年はASEANの発展にとって肝要な年だ。ASEANは年内に「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の共同体を発足させるとの偉大な目標を掲げている。これはアジア史上初の準地域共同体となり、アジア統合のプロセスにおいて一里塚的意義を持つ。2014年11月にASEAN事務局高官は、ASEAN共同体建設の実施率は88%に達したと発表した。経験上、目標までの「最後の1メートル」は往々にして最も困難な部分であり、ASEANは今年この極めて困難な任務を抱えている。各国は本来一致団結して一層努力すべきなのに、少数の国が自国だけの利益のために力を分散させている。
中国・ASEAN運命共同体の建設はASEANの長期的発展に資する。今回のASEAN首脳会議のテーマは「われわれの人々、われわれの共同体、われわれのビジョン」であり、この「ビジョン」とは2015年以降のASEAN発展の青写真を指す。ASEANは新たな歴史的出発点に立っている。これと同時に、中国の提唱した「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)構想も構築過程にある。東南アジアはすでに協力枠組みに組み込まれており、ASEAN10カ国も中国が設立を計画したアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーとなっている。中国とASEANは発展戦略の連結を実現しつつあり、協力は双方の発展に資する。双方は目の前のチャンスを大切にすべきだ。本来中国とASEANとの間の問題ではない南中国海係争によって大局がかき乱されてはならない。
すでに中国とASEANは南中国海問題の処理において重要な共通認識にいたっている。早くも2002年に、中国はASEAN諸国と南中国海における関係国の行動宣言を定めた。現在の取り組みの重点は、宣言をしっかりと実行に移すことだ。南中国海問題の処理における中国の「デュアル・トラック・ アプローチ」も、大多数のASEAN諸国の賛同を得ている。中国とASEANには南中国海の平和と安定を共同で維持する能力とルートが完全にある。少数の国が摩擦を作り出し、この共通認識と逆行している。
フィリピンはASEANの一員だが、ASEAN全体および中国・ASEAN関係を翻弄する権利はない。ASEANは冷静さを保ち、長期的観点で、正しい戦略決断をする必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年4月30日