中国科学院上海生命科学研究院・植物生理生態研究所・植物分子遺伝国家重点実験室の林鴻宣氏が率いる研究チームは、高温耐性を制御する量的形質遺伝子座(QTL)を作物からクローニングすることに成功した。関連する研究成果は18日、世界トップの遺伝子専門誌「ネイチャージェネティクス」(電子版)に掲載された。光明日報が伝えた。
世界的な気候変動により、極端な猛暑が多発しており、イネの安定的な生産が脅かされている。林氏の研究チームは10年以上前から、作物の高温耐性の研究を開始した。林氏の指導を受け、博士課程在学中の厲新民氏は遺伝分析とポジショナルクローニングにより、アフリカイネの高温耐性を制御するQTL-高温耐性1号遺伝子(TT1)の分離とクローニングに成功した。研究結果によると、イネが高温の脅威にさらされると、その細胞内のタンパク質の不活化が生じ、細胞内の正常な生命活動に影響を及ぼす。深刻な場合は細胞の破裂を引き起こし、イネを枯らしてしまう。アフリカイネの遺伝子であるTT1は、高温時に迅速に反応し、タンパク質の変質を弱める「保護システム」に加わる。これにより植物細胞は効果的に「ゴミ」を除去し、耐熱性を高めることができる。
林氏は、「TT1は新たに発見された重要な遺伝子であり、作物の高温耐性の改良に貴重な資源を提供した。TT1は芝生、白菜などのアブラナ科の植物の高温耐性栽培において、幅広い活用が期待される」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年5月22日