9月下旬には、吉野家、松屋、すき家の3大牛丼チェーンが申し合わせたように牛丼価格を50~80円値下げすると発表し、客離れをくい止めようとした。昨年末、輸入牛肉などの原材料価格の上昇を受けて吉野家とすき家が価格を20%引き上げたところ、客数が1割以上減少したからだ。
3大牛丼チェーンの価格は「街角の物価指数」となどといわれ、日本国民の消費力の変化を直接的に反映するものとみなされてきた。牛肉の相次ぐ値下げから、国民の消費力が低下し、インフレが再び頭をもたげている日本経済の現状がうかがえる。
指摘しておくべきことは、日本の食品価格はここ2年間に大幅に上昇したが、消費者物価指数を算出する際には生産食品を除外するため、インフレ指数は低下しているものの、国民の実質的負担はかえって増加しているということだ。日本政府は2年連続で企業の賃上げを誘導してきたが、今年6月末現在、従業員の実質所得は前年同期に比べ3%低下した。
米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは9月に日本国債の格付けを引き下げ、アベノミクスの効果に疑義を呈し、経済成長が鈍化したため、11年度から14年度にかけて日本の平均所得は減少し、日本経済はデフレからなお脱却できず、巨額の財政赤字を背負うことになったと指摘した。
日本銀行(中央銀行)が発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大規模製造企業の業況判断指数(DI)は12で、前回調査時の6月より3ポイント低下し、2四半期ぶりの低下となった。経営者は経済の見通しにますます慎重な態度を取るようになっている。
市場では、日銀の金融政策はすでに行き詰まったとの声が聞かれる。経済情勢が悪化すれば、日銀は必ず追加緩和を行い、これにより円がさらに値下がりし、物価がさらに上昇し、消費が再び打撃を受けることになるという。