日本の内閣府は17日、2015年第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質GDPは前期比0.4%減少し、年率換算で1.6%の減少となった。この数字はデフレの苦境からの脱出に力を尽くしてきた「アベノミクス」にとって、悪い情報であることは間違いない。わずか3日前に経済財政政策担当大臣が報告した2015年度の「年次経済財政報告(経済財政白書)」では、「およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況がみられるようになった」とされていたにもかかわらずだ。人民日報が伝えた。
▽内需と生産の回復が遅れる
東京大学の伊藤元重教授(経済学)は、「日本経済がデフレから脱却しつつあることは主に次の方面に体現されている。第1に2014年度に法人税収は過去最高を記録した。第2に15年第1四半期(1-3月)の実質GDPは同3.9%増加し、2四半期連続でプラスとなった。第3に雇用情勢が順調で、失業率は18年ぶりの低い記録となった。第4に銀行の不良債権比率と不良債権残高がいずれも低下した」と話す。
だが共同通信社は次のように報じた。この白書はアベノミクスを過剰に賞賛しており、明らかに安倍政権の意図が反映されている。政府の主導で給与は増加したが、個人消費は引き続き低迷し、輸出も好転の兆しがみえない。第2四半期の実質GDPの構成をみると、内需の貢献度は−0.1%、外需の貢献度は−0.3%だった。項目別にみると、個人消費が0.8%減少し、4四半期ぶりのマイナスとなった。円安を背景として、食品などの価格が上昇を続け、給与の上昇が物価の上昇に追いつかず、消費者の消費マインドが低下している。
日本の総務省がこのほど発表した6月の家計調査(2人以上の世帯が対象)では、世帯の実際の消費支出が前年同月比2%減少し、14カ月ぶりの減少となった。日本総研調査部マクロ経済研究センターがまとめた報告書では、物価の上昇が世帯の実質購買力を引き下げ、消費税率引き上げ後の個人消費の回復は遅れている。第2四半期の輸出は同4.4%減少し、輸入は同2.6%減少した。設備投資も同0.1%の減少で、3四半期ぶりのマイナスとなった。生産活動の回復は遅く、設備投資への意欲は低下気味だ。
共同通信社が7〜8月に全国の都道府県知事を対象に行ったアンケート調査によると、昨年4月の消費増税以降の経済情勢が増税前の水準に戻っていないとした都道府県が60%に上り、安倍晋三内閣の第2次政権が発足して以来、大都市と地方都市との経済格差が拡大したとみる都道府県が過半数を超えた。知事の多くが、消費増税後に消費は低迷を続け、これに円安がもたらした原材料価格の上昇が加わり、地方経済を支える中小企業が直接的な打撃を受けたとの見方を示した。