新興の大国の台頭は守成する大国にとって必然的に脅威であり、戦争の勃発を招く可能性すらある――これが国際関係分野でよく話題にされる「トゥキディデスの罠」だ。近年、この考えを中米関係に当てはめる学者もいる。中国青年報が伝えた。
米国のキッシンジャー元国務長官(93)は「トゥキディデスの罠」が当たるかどうかについて懐疑的だ。国務院発展研究センターが20日午前に開催した中国発展ハイレベルフォーラム経済サミットの対話でキッシンジャー氏は「中米両国は1つは台頭中の国であり、もう1つは守成する大国だ。これは『トゥキディデスの罠』双方の特性とある程度一致する。だが両国関係がトゥキディデスの罠に陥るかどうかを見るには、現段階の特定の国際関係の大きな背景から離れてはならない」と強調した。
キッシンジャー氏は「新興国が守成する大国に取って代わろうとする特殊な国際的背景の下では大国間に衝突や戦争が起きかねないが、現在の中米関係にそのような状況は存在しないと私は考える。中米間には互いに取って代わる関係や意図はない」と述べた。
キッシンジャー氏はさらに「現在の世界では複数の重要な趨勢が同時に進行している。政治秩序から言えば、今や中米間の協力は極めて重要であり、もし中米間で衝突が発生すれば、破壊的な結果をもたらすだろう。経済秩序から言えば、中米間の競争は確かに不可避だが、両国の協力は両国および世界全体により幸福をもたらす」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月21日