4月2日午後、大阪堺市にある堺ディスプレイプロダクト(SDP)にて、台湾の鴻海精密工業(鴻海)とシャープは買収契約に調印した。鴻海は3888億円を出資し、シャープの66%の株式を取得する。外部資本の導入はシャープに多くのチャンスをもたらすが、外資が大量の株式を取得し100年以上の歴史を持つこの日本企業の経営に介入することで、かつて日本が誇りとした電子産業の輝きが失われてしまうことは否めない。
▽買収は各方面の「望むところ」
鴻海はこれまでずっとシャープ買収を望んできたが、様々な紆余曲折があり、2月末に一度は買収契約が延期された。しかし、中国現代国際関係研究院・日本研究所の劉雲アシスタント研究員によれば、この延期は出資金額の交渉や、細かい内容についての話し合いのためだったという。「実際はとてもスムーズに事が運び、最終的には双方ともに満足できる結果となった。鴻海は出資額の2000億円減額を求めていたが、最終的に1000億円減額で落ち着いた。また、鴻海側はシャープの職員、特に管理層の人員削減をしないことを約束した」。
劉氏はまた、次のように述べた。
鴻海によるシャープ買収では、三者がトリプルウィンを収めた。まず、鴻海はシャープの進んだ液晶技術を獲得し、シャープという市場価値のあるブランドを手に入れた。また、シャープにとっても、鴻海の力強い経営能力と資本力は、経営が苦境に陥った同社が必要とするものだった。
第3の勝者は日本政府だ。今回の買収は日本政府にとっても意義のあるものだった。アベノミクスにより、日本はマクロレベルで改革による成長戦略路線を歩んでおり、かつての製造大国から資本大国への転換を図ろうとしている。こうした発展の流れの中で、電子製造業の不良資産を切り離し、資本と株を保留して利益を得るというやり方は、日本の国家戦略にも合致している。