国家外貨管理局がこのほど発表したデータによると、3月の銀行の人民元先物取引は353億元の赤字だった。1~2月の状況と合わせて考えると、第1四半期(1-3月)には先物取引の赤字の規模が月を追って縮小し、市場の人民元切り下げ観測が著しく低下したことがうかがえる。新華社が伝えた。
先物取引とは、顧客と銀行が将来のある時期に決済や売却を行うと約束する取り決めのことを指す。企業と個人が将来の外貨の購入を選択するのが多いか、売却を選択するのが多いか、その傾向には人民元相場の動きに対する予測や判断が反映される。
同局国際収支司の王春英副司長の説明によると、「米ドル建てで計算すると、人民元先物取引の赤字は1月の247億ドル(1ドルは約109.4円)から2月は61億ドルと大幅に減少し、3月はさらに54億ドルに低下した。ここから市場のムードが理性的になり、人民元レートが安定するのにともない、先物市場における外貨の供給が徐々にバランスの取れた状態に向かったことがわかる」という。
王副司長は、「2016年以降、世界経済の成長は依然として力不足で、不確定要因や不安定要因が増加し、国際金融市場は大きく動揺している」とした上で、「だが、国内経済は安定の中で進歩するという発展状況が続いており、一連の主要指標には積極的な変化がみられ、人民元相場は基本的に安定に向かっている。全体としていえるのは、2016年第1四半期に、中国の国境を越えた資金の流れは流出傾向が続いたが、流出の圧力は年初に比べ目立って低下したということだ」と述べた。
また王副司長は、「銀行が顧客に代わって行う外貨取引のデータをみると、赤字が1月の694億ドルから2月は350億ドルに減少し、3月はさらに減少して336億ドルになった。2月には春節(旧正月、今年は2月8日)の長期連休があったことを考慮し、一日あたりの取引データに基づいて試算すると、人民元の受ける圧力が目立って低下したことがわかる」と分析する。
銀行が顧客に代わって行う外貨取引とは、銀行が顧客のために執り行う外貨の決済・売却業務を指す。黒字であれば、米ドルを売却する人が多く、米ドルから人民元への両替のニーズが高く、市場が人民元の値上がりを期待していることがわかる。赤字であれば、市場がリスクを回避したい心理から米ドルを持ち続ける傾向にあることがわかる。
同局のまとめた統計によれば、3月の銀行の外貨取引の赤字は2368億元(1元は約16.9円)で、2月よりやや増加した。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月22日