中国科学院のある科学者は研究を通じて、中国医薬「緑昇麻」の抽出物に、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を抑制する作用があることを発見した。この研究成果がこのほど国際的な学術誌に掲載された。新華社が伝えた。
キンポウゲ科昇麻属植物は、中国で有名な一般的にも広く使用されている中国医薬で、その薬用価値は「神農本草経」に記載されている。その地下茎を薬として使用すると、解熱・解毒作用を発揮する。民間では喉や歯の痛み、婦人病に使用されている。近年の研究によると、昇麻から抽出したトリテルペン化合物には、抗腫瘍、抗マラリア、血中脂質値低下などの生物活性がある。
緑昇麻は昇麻の一種だ。中国科学院昆明動物研究所と中国科学院昆明植物研究所の科学者は共同研究によって、緑昇麻の抽出物のTNBCに対する抗がん作用を発見した。論文の筆頭著者、中国科学院昆明動物研究所腫瘍生物学学科チーム博士課程在学中の孔燕傑氏によると、研究者は緑昇麻の乾燥させた茎から大量のトリテルペン単体化合物を大抽出した。そのスクリーニングによって、活性化合物「KHF16」がTNBC細胞の体外活着を強く抑制できることが分かった。さらなる研究によって、KHF16の一部がTNBC細胞の増殖と活着に関連する信号ルートを使い、がん細胞の死滅と発症の遅れを促し、耐薬品性を持つタンパク質の発現水準を下げることで、がん細胞の増殖を抑える効果を発揮することが分かった。
孔氏は、「研究の中で、緑昇麻の抽出物であるKHF16が、胃がん、肝臓がん、骨肉腫に対しても抑制効果を発揮することが明らかになった。そのため中国の中国医薬用植物からがん細胞の死滅を促す単体成分を分離・抽出することで、新しい抗腫瘍薬を開発する重要な基礎を築くことができる」と説明した。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年4月29日