中国におけるグループ企業の平均寿命は7~8年で、中小企業の平均寿命は3年を超えない。統計によると、世界にある100年を超える長寿企業は、日本が2万2千社余り、米国は歴史こそ短いが1100社ある。これに対して中国はたったの10社余りで、最も古い企業は明代の嘉靖9年(西暦1530年)に創業された六必居だ。
無数の企業家が生まれ、同じように会社を興し経営をする。それに関わらず、なぜ中米日三カ国でかくも大きな差が生じるのだろうか。社会的環境要素を除き、筆者は次のいくつかの点から分析を試みたい。
1つ目は、本業への専念という観点だ。百年もの間続く企業は、その本業だけに専念してきた企業だ。1837年から日用品だけを販売するP&G、1886年に創業したコカ・コーラなどがその例で、他の分野に目移りすることなく本業に専念している。西暦578年創業の世界最古の企業、日本の株式会社金剛組は、40代以上にわたり寺院の建築だけに専念してきた。それに対し中国の企業はどうか。起業して間もなく不動産を始めたかと思えば金融に手をだし、儲かることなら何でもやるといった様だ。
2つ目は、極めるという観点だ。小米(シャオミー)の創設者・雷軍氏は、創設当初「究極、専念、口コミ、スピード」という理念を打ち出していたが、小米の「スピード」感のある発展に伴い、「究極」は捨てられ、「専念」は忘れ去られ、今では「口コミ」もユーザーから消えようとしている。中国の企業は常に追い越されることを恐れ、スピーディーな発展や拡大ばかりを求め、質の追求を忘れる。スティーブ・ジョブズ氏の「究極の普通」という理念がいかに偉大かが証明される。日本の金剛組も、今日まで手作業を堅持している。
3つ目は信用だ。日本の帝国データバンクが4000社を対象に行った調査によると、漢字一字で「長寿の秘訣」を表した場合、最も多かったのが「信」で、次が「誠」であった。