劉さんによると、「実は女性より男性のほうが蜀繍を学ぶのにむいている」といい、「男性は蜀繍を学ぶ過程で、結婚や出産を理由にそれを中断する必要がない。蜀繍の技術は、練習しないとすぐに後退してしまう。蜀繍を学ぶ上で、中断が最も致命的。また、男性は家事をする時間が少なく、手をけがする確率も低い。洗濯や料理をいつもしていると、手がごつごつしてくる。刺繍をする時に、糸がそれに引っかかったりすると品質が落ちてしまう。刺繍をする前は手を洗い、ハンドクリームを塗る。そうすることで、手をすべすべにし、起毛を避けられ、刺繍に光沢が出る」と説明する。
重慶の蜀繍は後継者不足
「現在、男性が刺繍を学ぶというのは受け入れられない人や僕の作品を見ても、僕の作品とは信じない人もいる」と劉さん。重慶は蜀繍の職人が少ないだけでなく、後継者不足にも悩まされており、「蜀繍は近年、元々打撃を受けており、有名職人が亡くなった後、その弟子たちが学ぶのをやめてしまうというケースもある」という。
蜀繍のコストは通常300元(約5千円)以下と高くないものの、そこに費やされる時間や精力は想像以上。一つの作品を製作するために、簡単な柄でも少なくとも十数日かかり、複雑な柄となると数人がかりで、数年かけて作ることもある。そのため、刺繍を学ぶ人には我慢強さと意志の強さが求められる。「現在、弟子が6人いるが、全員女性。だから、男性の弟子を探して、蜀繍の文化を継承してもらいたい」と劉さん。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年5月16日