中国の四大刺繍の一つ蜀繍(しょくしゅう)の職人である劉熙貴さん(35)は現在、重慶市南岸区の少数花園で弟子を募集している。劉さんは、同分野における重慶唯一の男性の無形文化遺産の伝承人だ。刺繍というと、多くの人は女性ならではの技と感じるかもしれないが、劉さんが探しているのは男性の弟子だ。劉さんは取材に対して自分の経験を語り、「実は女性より男性のほうが蜀繍を学ぶのにむいている」とし、「時代が変わり、蜀繍は後継者不足に悩まされている。現在、重慶には蜀繍の基礎的な技能を持つ職人が十数人しかいない。新世代の男性となるとさらに少なくなるため、弟子を探して蜀繍の文化を受けついでもらうのが切実に必要」と語った。新華網が伝えた。
川劇の衣裳に惹かれて刺繍の道に
貴州省出身の劉さんは、早くから重慶で働くようになり、縁があって重慶川劇院で伝統芸能・川劇の衣裳を管理するようになった。衣裳にはクジャクや蛟龍などの刺繍が入っており、その迫力ある柄に惹かれていった。そして、刺繍を学ぶようになった。
2011年、劉さんは重慶で蜀繍の無形文化遺産伝承人に認定された。「現在、自分のスキルをのばすほか、伝統の継承にも力を入れ、男性の弟子を募集している」と劉さん。
刺繍は女性ならではの技は誤解
刺繍というと、多くの人が女性ならではの技と考えている。しかし、蜀繍の世界では、昔から男性だけが活躍してきた。その技術は男性だけに伝えられ、女性には伝えられないというのが伝統という。劉さんによると、「昔、女性は誤解されるのを嫌い、男性の職人から学ぶのが難しく、嫁に行くと、受け継がれてきた技能を他人に伝えることになるため、蜀繍の技術は男性にだけ伝えられ、女性には伝えられなかった。むろん、現代では女性も学べるようになった。その一方で、男性のほうが逆に少なくなっている」という。重慶で唯一の男性蜀繍職人である劉さんは、「男性には、蜀繍を学ぶ前に自分の優位性を知り、懸念を解消してほしい」と語る。