日本の家電産業の場合、サンヨーが市場から撤退し、ソニーとパナソニックが巨額の損失を出し、東芝は不正会計スキャンダルを起こして、最後には白物家電事業を売却するしかなくなった。かつて消費者の心に信頼を植え付けることに成功した日本の家電だが、栄光はすでに過去のものだ。財務危機に陥った電子製品メーカーのシャープなどは、2010年に世界初の4Kテレビをうち出したが、深すぎる技術の追求によりコストと販売価格が跳ね上がった。普通の人には極めて微妙な精細度の違いを着実に見分けることなどできない。先端技術を追求するあまり、シャープは真の市場ニーズを軽視したことになる。シャープみずから4Kテレビについて、「消費者がより大金を払って購入する実用性の高くない製品」などと言っていたこともある。
日本社会全体という大きな背景を考えると、人口は減少し、人口構造はバランスを欠き、国内需要が落ち込むといった構造的問題が長らく日本を苦しめてきた。特に高齢化社会に突入した後、日本は若い人が少なくなって就業構造のバランスが悪くなり、産業の活力が失われた。日本政府の最新の世論調査によれば、現在の日本では65歳以上の高齢者が総人口の4分の1以上を占めており、国際連合の定義では超高齢化社会に突入している。
社会が高齢化し日本では起業ムードが徐々に消滅し、産業の活力が低下している。さび付いた社会の歯車に押されて、若い人の間では楽そうにみえる「サラリーマン」志向が強まり、起業や革新の情熱はどんどん弱まっている。早稲田大学の野口悠紀雄名誉教授はかつて、「アベノミクスの3本の矢は日本経済に活力を注入できない。日本経済には市場ニーズの不足から革新の弱体化に至る一連の悪循環が起こり始めている」といった見方を示した。
だが日本の製造業企業にはここ数年、衰退現象がいろいろみられるとはいえ、先端技術をはじめとしたコア競争力をもつ優位性には変わりがない。有名ブランドのソニーの場合、同社のスマートフォンは世界的にブームを巻き起こしてはいないが、ソニーはスマホ用のカメラ技術を掌握している。今やカメラ機能はスマホに不可欠の機能であり、ソニーは実はスマホ産業のコア部品で「隠れたチャンピオン」になっている。
日本の製造業企業の一部は末端の消費市場から撤退したが、撤退を迫られたのではなく、自ら身を引いたのだ。そうして技術的ハードルがより高く、競争がそれほど激しくない商用市場に転向したのであり、今でも有力な市場のプレイヤーだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年7月12日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn