韓国は大国間の対立の渦に巻き込まれ、腹背に敵を受ける可能性がある。米韓がTHAADの韓国配備によって地域の戦略バランスを破壊することに、中国とロシアは異口同音に反対している。中露がTHAADをにらんだ軍事配備を強化するのは必至であり、韓国は大国間の対立の最前線に置かれるに等しい。中露との関係が悪化した場合、報復を招く可能性がある。
韓米はTHAAD配備の理由として、朝鮮の脅威への対処を再三強調している。だがTHAAD配備は「木に登って魚を得ようとする」ようなものであり、朝鮮半島問題解決への新たな障害となる。朝鮮半島問題の焦点は非核化だが、THAAD配備は朝鮮の核開発を阻止する助けにならない。反対に、今後THAADをめぐる争いが、朝鮮半島問題に影響を与える主要な安全保障上の問題となり、非核化が焦点ではなくなる可能性が高い。そればかりか、THAADをめぐる争いが朝鮮半島非核化問題における各国の協力を弱め、あるいは妨げる恐れもある。
今年4月に行なわれた韓国の第20回国会議員選挙で与党・セヌリ党は敗北した。朴槿恵大統領は対外政策でTHAAD配備を含む強硬政策を取ることで、劣勢を覆そうとした。だがこれは逆効果だった。韓国の世論調査機関によると、朴大統領の支持率は7月12日には36.3%だったが、THAAD配備発表から2日後の15日には32.5%に下落した。
実は朴大統領就任以来、中韓は日増しに接近し、韓国は多くの利益を得ていた。韓国は中米間でうまく立ち回ることで、経済的利益を確保するとともに、中国の力を借りて朝鮮核問題を抑制することもできる。だが米韓は「南中国海仲裁裁判」の結果が出る際に「THAAD」配備を発表した。中国に両面から圧力をかける意図があることは明らかだ。中国はこれをよく分かっている。
北東アジアには冷戦の氷が厚く残っており、地域の安全と安定は依然としてもろい。もし朝鮮半島の対立の先鋭化を避けたいのなら、実は複雑なことではなく、米韓がTHAAD問題で根本的に方針を改め、非核化に再度焦点を合わせ、朝鮮半島の平和と安定を的確に維持することだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年7月28日
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