専門家・考古学者のたゆまぬ努力により、2年以上前に揚州市の隋煬帝墓地の発掘現場から実験室に持ち帰られた「土くれ」から、国内考古発見最高クラスの、保存状態が最も良好な礼冠が復元されるとは、誰も予想しなかっただろう。科技日報が伝えた。
揚州市文物局と陝西省文物保護研究院は5日に西安市で、「揚州隋煬帝蕭皇后礼冠実験室考古・保護」プロジェクトの完成発表会を行った。同プロジェクトを担当する西北工業大学の楊軍昌教授によると、同プロジェクトは蕭皇后礼冠の基本的な構造、加工技術、材質を明らかにし、隋唐時代の礼冠制度の研究に重要な実物資料を提供した。また実験室の考古学科に、貴重な実践例をもたらした。
2013年の蕭皇后墓の発掘調査で、考古学者は遺跡を処理した際に散らばった大量の小型文化財を発見した。これには切れた銅線、銅の破片、粉状になった玉などが含まれ、現場では複雑な構造の冠と判断された。揚州市文物考古研究所の束家平所長は、「蕭皇后の冠の出土時の状況はひどく、土塊のように見えた。木の棒でそっと叩いただけで、銅の装飾品が壊れたほどだ」と話した。
この冠の重要性・複雑性・脆弱さを考えると、現場で全面的な整理を行うのは不可能だった。考古調査隊はそのすべてを取り出し、実験室で整理することを決定した。
陝西省考古研究院元チーフエンジニアの楊軍昌氏によると、プロジェクトチームは情報を最大限まで明らかにし保存・解読するため、走査型電子顕微鏡によるスペクトル分析、X線による探傷、CTスキャン、3Dスキャンなどさまざまな技術手段を用い、この冠の外観・構造、花と木の飾りの配置、装飾品の材質と加工技術を明らかにした。これを踏まえた上で今年1月から蕭皇后の礼冠の復元作業が始まり、人々も驚く美しい冠が出来上がった。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年9月9日
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