リアルタイムでコメントできる動画サイト「bilibili」(ビリビリ)にアクセスすると、再生回数が数百万回にのぼる「我在故宮修文物」というドキュメンタリー動画に気づくはずだ。5万件ちかく寄せられたコメントを見ると、このドキュメンタリーの主人公の一人、故宮時計修復室の王津さん(55)が、多くの若いファンから尊敬されていることがわかる。北京晩報が伝えた。
王さんは16歳から故宮で働きはじめ、もうすぐ勤続40年。「1年目は文化財に触ることができず、道具の使い方に慣れ親しむところから始まった。1年後から最もシンプルな宮廷時計の修復を始めた」。4年間の修業を経た王さんは1981年に、ようやく比較的重要な文化財の修復に取りかかることができたという。
王さんが修復したなかで最も印象的だった文物は、「マジシャン時計」だ。この時計はスイスの巨匠が道光九年に製造したものだ。時計の中にはマジックをする老人がいて、手に豆や玉を持っている。動き出すと、上部の小鳥が絶えず口を開き、身を翻し、羽を動かす。その下の丸い玉が回転し、3枚の円盤も絶えず色を変えつつ回転するという不思議な時計だ。
「1998年に修復を検討し始めたが、なかなか手を付けられなかった」という王さんを困らせたこの時計には1000個以上の部品が使われており、7つのシステムと5組の機械が連動し、その台の歯車はまるで「迷路」のような多さ。「スイスの専門家も見に来たことがあるが、世界でも公に認められている最も複雑な西洋時計の一つだ」と王さんは語った。
王さんは1年以上の時間をかけ、この時計を修復した。2010年に修復が終わると、この時計はオランダで半年展示され、現在は完全な状態で倉庫内で保管されている。
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