アニメ「生きのびるために」
20日に開催された「上海国際映画祭金爵(Golden Goblet)映画フォーラム」において、アニメーション部門の審査員を務める日本のアニメ映画監督・片渕須直氏と中国のアニメ映画監督・孫立軍氏はいずれも、「題材の内容や作品のスタイルに関係なく、地域的な特色が鮮明なアニメ作品は、国際的にもその美しさが評価される上で大切なポイントとなる。多くの人は、ローカル色があまりにも強烈なアニメは国際市場では認められ難いと思っているが、実際はそうではない。観衆は、自分にとって馴染みはないが心を動かされるような人物や画風に対してより強烈な興味を抱くものだ」といった内容の発言を行った。新華網が伝えた。
今年の国際映画祭の上映作品の一つであるアニメ作品「生きのびるために」は、チケット販売開始と同時に映画ファンによって即完売となった。昨年末のロサンゼルス映画批評家協会(LAFCA)長編アニメーション賞を受賞した同作品は、低い制作コストで、ターリバーン政権下のアフガニスタンに暮らす女の子をめぐり物語が展開する。家庭の事情で一家の大黒柱として重圧を担わざるを得なくなった主人公だったが、ターリバーン政権が女性が働くことを禁じたことから、彼女はやむなく男装し、苦難に満ちた生活を強いられることになる。同作品は、動画評価サイト「豆瓣」で8.3ポイントの高評価を獲得した。ネットユーザーは、「危険と隣り合わせの生活を送る女の子をきめ細かく描写しているところに非常に感動した。そして、作品の随所に人道的な配慮が満ち溢れていた」とコメントした。
このほか、昨年、「生きのびるために」と各大型映画賞の獲得でしのぎを削ったアニメ作品「リメンバー・ミー」も、その独特の風土と人情で観衆を魅了した。同作品は、中国大陸部で12億元(約204億円)を上回る興行収入を記録したピクサー・アニメで、舞台はメキシコ。「死者の日(Día de Muertos)」やマリーゴールドなど民族色溢れるモチーフや陽気で親しみやすいメキシコ人気質がストーリー展開を後押しし、観衆に新鮮さと感動をもたらした。
孫監督は、「海外のアニメ関係者と話す機会があると、彼らはこぞって、中国色溢れるストーリーのアニメを見たいと言う。きめ細やかな情感にあふれ、かつ強烈なローカルカラーを持つストーリーは、今の国際アニメ映画市場が求める要素となっている」と指摘した。
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