今月23日、上海国際映画祭で日本映画「万引き家族」が上映された。同映画祭における最終上映作品ということもあり、映画館の上海影城には、早朝から大勢の人が押し寄せた。上映後、是枝裕和監督や女優の松岡茉優、城桧吏(じょう・かいり)ら出演者が登壇し、ファンと交流した。羊城晩報が報じた。
「万引き家族」は5月に行われた第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した。そして、今月8日に日本で公開されて間もなく同映画祭でも上映されるとあり、チケットは高額で取引された。
あたたかいムードの背後に残酷な現実
「万引き家族」は、東京の下町に暮らす、日雇い仕事の父・柴田治とクリーニング店で働く治の妻・信代、息子・祥太、風俗店で働く信代の妹・亜紀、そして家主である祖母・初枝の5人家族の物語。是枝裕和監督の作品を何度も見たことがある人なら、「誰も知らない」(2004年)や「そして父になる」(13年)などと同じ雰囲気を感じたことだろう。初枝(樹木希林)、治(中川雅也)、信代(安藤サクラ)、亜紀(松岡茉優)、祥太(城桧吏)は東京の狭いおんぼろの家に住み、家族の収入源は初枝の年金だった。そして、年金では足りなくなると、治と祥太は「万引き」を行い、なんとか暮らしていた。5人は社会の底辺で暮らしながらも笑顔が絶えなかった。冬のある日、近所の団地の廊下に一人の幼い女の子・ゆり(佐々木ゆみ)が震えているのを治と祥太が見つけ、見かねて連れて帰り、女の子は柴田家の6人目の家族となった。しかし、ある日、柴田家にある事件が起こり、家族はバラバラに引き裂かれてしまう。
最初の約1時間はあたたかい雰囲気で物語が展開されるのに対して、最後の30分で家族のそれぞれの秘密と願いが次々に明らかになっていき、前半とは対照的なムードが漂う。血縁イコール健全な親子関係なのだろうか?家族であれば必ず愛でつながっているのだろうか?是枝裕和監督のこれまでの作品と同じく、「万引き家族」にもアットホームな雰囲気が漂うものの、そのテーマは非常に鋭く、その背後では残酷な現実も描かれている。そのため、鑑賞後は、鉛を飲み込んだような重苦しい気分にさせられる。
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