食いしん坊は我慢できずについつい食べてしまうが、食べようとする気持ちを抑えるのは脳という「司令部」だ。中国科学院などの科学研究機関による最新の研究成果により、視床下部のある部位に含まれる神経単位が、摂食のコントロールで重要な力を発揮することが初めて明らかになった。これにより、脳が摂食をコントロールする新しいメカニズムが打ち出された。関連研究成果はこのほど、世界的に権威ある学術誌「サイエンス」に掲載された。新華社が伝えた。
肥満の主な原因は、摂取カロリー量と消費カロリー量の間のバランスの乱れだ。それでは、体はいかにして食べるか食べないか、どの程度食べるかを教えてくれるのだろうか。中国科学院武漢物理・数学研究所の徐富強研究員のチームと、シンガポール科学技術研究局の傅玉研究員のチームは初めて、視床下部の外側結節核の「SST+」神経単位が、摂食のコントロールで重要な力を発揮していることを明らかにした。
研究者はマウスを研究モデルとし、飢えとグレリンがこの新たに発見された神経単位を刺激することを発見し、この神経単位と飢えの間に密接な関係があるとした。その摂食コントロールにおける働きを明らかにするため、彼らはSST+神経単位を刺激・抑制・不活性化した。その結果、同神経単位を刺激することでマウスの摂食量を増やし、抑制もしくは不活性化することで摂食量を減らすことができた。
論文の共同筆頭著者、中国科学院武漢物理・数学研究所の李琴副研究員は、「さらに興味深いことに、SST+神経単位が不活性化されたマウスは、体重が10週間内に56%ほど軽くなった。これは空腹を感じる際に、脳の複数の箇所が同時に刺激され、食事を促すことを証明している。おそらくは脳のこのような構造により、私たちはごちそうを目の当たりにすると、食べたい衝動を抑えられなくなりやすい」と指摘した。
業界内では、同研究は肥満症や拒食症の治療薬開発に新たなターゲットをもたらし、かつ神経変性疾患の患者の代謝や食欲の変化を理解する新たな発想を提供するとされている。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年7月19日
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