多くの中国人は、日本の報道で初めて外国に親のすねをかじって生活している人がいることを知ったことだろう。日本ではそのような若者を「パラサイト・シングル」と呼んでいる。日本では1990年代、不動産バブルが崩壊したのをきっかけに、働かずに実家で親に依存して生活する若者が増えた。それから20年以上が立った今も、パラサイト・シングルは自立するどころか、中年、高齢になっても親に依存し続け、「パラサイトの先駆者だ」と揶揄されている。現在、親と同居している未婚者(35-54歳)のうち「基礎的生活条件を親に依存している可能性のある者」の数は83 万人に達している。環球時報が報じた。
90年代、当時東京学芸大学助教授(現・准教授)だった山田昌弘氏が「パラサイト・シングル」という言葉を作った。それから、20年以上たった今、当時のパラサイト・シングルの若者は、すでに中年、高齢になっており、さらに現在の多くの若者の「見本」となった。
筆者も「ベテラン」のパラサイト・シングル・野口さん(57)を知っている。彼は34歳の時にリストラに遭い、それをきっかけに妻が家を出て行った。そして、意気消沈し、埼玉県にある実家に帰り、母親と一緒に暮らすようになり、今に至っている。正確に言うと、野口さんは普段、「家」ではなく、「部屋」に引きこもっている。食事は母親が部屋のドアの前まで運ぶ。野口さんは基本的にインターネットを通して、外部の情報を得ている。「そのような生活をしていて、他の人に批判されるのは怖くないのか?」との質問に、野口さんは、「他の人からどう思われるかは全く重要でない。僕たちはこの世界にいてもいなくてもいい人間で、社会で活動していると逆に迷惑をかけてしまうので、家に引きこもっているほうがまし」との答えが返ってきた。
野口さんの母親・洋子さんは今年82歳で、夫は早くに亡くなった。娘もいるが結婚して家を出たため、息子と二人で暮らしている。昨年夏、洋子さんは外出中に転んで骨折し、病院に入院している間、息子の世話をしてくれる人を雇ったという。退院後、洋子さんは体が不自由になったにもかかわらず、以前と同様に息子の世話をしている。
年を取るにつれ、洋子さんは、「私が死んだら、息子はどうなるのだろう」と心配になるという。ここ数ヶ月、洋子さんは息子の仕事を探すためにできる限りのことをし、娘に履歴書も書いてもらっている。履歴書の学歴や得意分野などは「水増し」があるものの、それほどまでにして仕事を見つけたいのだ。友人やハローワークの職員からは、「これは、息子さんが自分でするべきだ」と言われているものの、洋子さんは、「息子は繊細で、人と接するのが苦手。私が喜んで息子の世話をしているだけで、息子は悪くない」と意に介さない。
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