中国教育部(省)の統計データによると、改革開放以降、外国で学ぶ様々なタイプの留学生の数は累計519万4900人に達し、このうち60%以上の留学生は、海外での学業を終えた後、帰国してキャリア発展の道を選択している。2017年、海外から中国に戻った留学生の数は48万900人に上り、ますます多くのグローバルな視野とハイテク技術を身につけた海外帰国留学生が、急成長を続ける中国経済の各分野で活躍するようになってきている。人民網が伝えた。
グローバル化シンクタンク(CCG)とオンライン求人サイト「智聯招聘(Zhaopin.com)」がこのほど共同で発表した「2018年中国海外帰国者就職・起業調査報告(以下、『報告』)」では、「90後(1990年代生まれ)」を中心とする新世代海外帰国組の就職・起業状況に対する掘り下げた調査・分析が行われた。報告によると、「留学の低年齢化」傾向が顕著に進んでおり、高校生の留学生が増加している。海外帰国組のうち、大学学部に留学した人の割合は最も多く、51.54%に達し、高校への留学生は29.79%を占め、2017年の調査結果より9ポイント上昇した。海外留学の目的については、「見聞を広めること」が最大の理由だった。英国・米国・オーストラリア・韓国は依然、海外帰国組が留学先として選んだ主要国家だった。最近の留学生が選んだ専攻で最も多かったのは、経済学および商学だった。また、調査によると、「留学での収穫は、期待していた通りだった」あるいは「海外での就職経験がある」とした海外帰国組の割合は高まっており、業界別の就職率を見ると、金融業がITサービス業を上回りトップに立った。
就職・起業の面では、留学生が帰国後携わる業界は、金融、ソフトウェア・ITサービス、製造業など様々な分野に広がっており、そのうち金融業に従事する人の割合は14%、ソフトウェア・ITサービス業は13%、製造業は12%、教育業は11%だった。このほか、留学帰国組の5%は「起業」の道を選択しており、起業の対象となる主な業界は、情報通信業、ソフトウェア・ITサービス業、卸売・小売業、教育業など。また、報告によると、海外帰国組の61%は、「自分の郷里でキャリア発展を目指す」と答えた。だが、北京、上海、広東は、「経済発展スピードが速い」、「国際化レベルが高い」、「多様な文化を擁している」、「包容度が高い」などのメリットゆえに、引き続き、海外帰国人材が就職・起業を目指す主要対象都市となっており、東北地区や中西部地区は、深刻な人材流失問題に直面している。
母国を離れがたい想い、中国国内における就職・起業の大きな可能性、そして自身の多様な文化経歴という優位性によって、海外留学者は「帰国してキャリア発展を目指す」道を選択する流れに向かっている。報告によると、留学帰国者の67%以上は、「家族や友人と集いやすいので、帰国の道を選んだ」と答え、40%以上は、「国内経済の発展が良好なすう勢にあるため、帰国を選んだ」としている。国内各大都市において、数年前から「人材争奪戦」が過熱するにつれて、留学帰国者も各都市の「人材誘致の重点対象」となっている。国内で学業を終えた人に比べ、海外帰国者は、言語によるコミュニケーション、海外市場に対する習熟度、異文化間コミュニケーション能力、革新・批判的な思考力などの面で優位性を備えており、各地の経済貿易と文化革新事業の発展に有益となる多くの優秀人材として貢献している。
報告によると、海外留学帰国組の95%は、「帰国後半年以内に仕事が見つかった」としているが、彼らもまた、就職・起業において、ある種の困難に直面している。2017年、海外帰国者の実際の収入と予想との間のギャップが一段と拡大し、「実際の収入レベルが予想より低い」、「企業の発展の可能性が不鮮明」、「昇進に制限がある」などの問題を抱える海外帰国組は80%に達した。このような状況も、彼らが長期的かつ安定的に一つのポストで働き続けることを難しくする原因の一つとなっている。このほか、「起業コストが高い」、「関連した起業サービスが充実していない」、「技術成果の転化が難しい」といった問題も、海外留学帰国組が「帰国後起業」を進める過程で乗り越えなければならない障壁となっている。また中国国内の市場環境に対して起業者が明確な認識を持っていないことも、起業の道を阻む重要な原因となっている。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年8月24日
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