【第125回】未享受年次有給休暇の関連問題(その二)
前回は未享受年次有給休暇賃金の計算について、解説を行いました。今回は、未享受年次休暇のそのほかの関連問題を解説いたします。
1.従業員の同意を得て、未享受年次有給休暇が翌年度への繰り越しが可能
「従業員年次有給休暇条例」第5条によれば、「会社は生産、業務の具体的な状況に応じ、従業員本人の意志を考慮し、従業員の年次有給休暇を統一して計画手配することができる。年次有給休暇は一年度内に集中して手配することができ、また段階的に手配することもできるが、一般的に年度にまたがって手配しない。会社は、生産、業務の特殊性から年度にまたがって手配する必要が確実にある場合には、一年度にまたがって手配することができる」とあります。一方、年度をまたがって手配する場合、従業員本人の同意を得る必要があります(「企業従業員年次有給休暇実施弁法」第9条)。
2.未享受年次有給休暇の実際の補充支払いは、1日当たり賃金の200%となる
「実施弁法」第10条によれば、「使用者が従業員の同意を受け、年次有給休暇を手配せず、または手配した年次有給休暇日数が休むべき年次有給休暇日数より少ない場合には、本年度内に従業員に対し、未享受年次有給休暇日数に基づき、1日当たり賃金の300%の基準で、未享受年次有給休暇分の賃金報酬を支払わなければならず、このうちには正常勤務期間における賃金が含まれる」とあります。
未享受年次有給休暇分の賃金報酬は、1日当たり賃金の300%の基準で支払うものとされますが、享受すべき年次有給休暇を取らず、従業員が平日通りに勤務したため、その分の賃金は、会社が通常通り支払ったため、実際の支払いは200%となります。
ここにいう「1日当たり賃金」の計算方法について、「従業員の月賃金を月の賃金計算日数(21.75)で割る方法により換算する」とあります。(実施弁法第11条)
「月の賃金計算日数(21.75)」について、労働と社会保障部公布の「従業員の一年の月平均勤務時間と賃金換算問題に関する通知」によれば、「月の賃金計算日数=金計算時に使われる月勤務日数の20.83 と区別する必要があります。
3.未享受年次有給休暇発生のパターン