【第124回】未享受年次有給休暇の関連問題(その一)
未享受年次休暇賃金の計算方法について、「企業従業員年次有給休暇実施弁法」第11条には下記規定が定められています。
1.未享受年次休暇賃金の1日当たり賃金を計算するとき、従業員本人の月賃金で月の賃金計算日数(21.75日)を割る方法により換算する。
2.前項にいう月賃金とは、従業員が使用者から未享受年次休暇賃金を受領する前に、割増賃金を控除した12 カ月間の月平均賃金を指す。本使用者における勤続期間が12 カ月未満である場合、実際の月数で月平均賃金を計算する。
3.従業員は、年次休暇期間において正常勤務期間と同様の賃金を享受する。出来高賃金、歩合賃金またはその他の業績賃金制を実行する従業員につき、その1日当たり賃金の計算・支払方法は、本条第1項、第2項の規定に基づき執行する。
そのうち、「月賃金」について、これまでの労働行政実務、労働司法実務に基づき、1カ月間(一般的には、1月1日-12月31日)の「取得すべき賃金」(または「賃金総額 」)から割増賃金を控除した後の「月平均賃金」を指します。
「企業従業員年次有給休暇実施弁法」における明文上、「取得すべき賃金」(または「賃金総額」)という記載がありませんが、これら概念を用いて、上記条文の解釈を行う必要があると考えます。
賃金総額を理解するためには、以下の賃金明細リスト(例:2012年6月)を見ておきましょう。以下に書かれている項目は、全部賃金総額の項目に該当します。
ア、基本賃金(職務賃金を含む):税前3000元
イ.交通費手当:200元
ウ.残業手当:300元
エ.ボーナス:基本賃金1カ月分
上記賃金明細リストに対して、未享受年次休暇賃金の計算を行う場合、残業手当の300元を控除して計算する必要があります。(「企業従業員年次有給休暇実施弁法」第11条に基づき)
その次、未享受年次休暇賃金の計算を行う際に、交通費手当、ボーナスを控除できるかどうかについて、(1)明文上控除できる根拠が存在していないこと、(2)交通費手当てとボーナスは、賃金総額の一部として認められることによって、控除できないという結論になると考えます。