■若手監督たちが映画市場の重責を担う
最新特撮ブームに乗る国産映画の大作
2013年の映画市場では、現実的な題材を扱った小・中規模の映画の台頭が一年を通して最大の見所の一つとなった。一年間の国産映画の興行ランキングトップ10のうち、現実的な題材をテーマにした小・中規模製作の映画が半数を占めた。産業化が始まって以来、大作映画がランキングを独占する時代が長く続いてきたが、中国映画産業の作品構成は徐々に合理的な方向へと向かっている。
業界内関係者は、現実的な題材をテーマにした小・中規模製作の映画の成功は、一つの側面として若手の映画監督の成長を促したという見方を示している。陳凱歌(チェン・カイコー)や張芸謀(チャン・イーモウ)、馮小剛(フォン・シャオガン)といった1950、60年代生まれの監督と比較して、70年代、あるいは80年代生まれの監督は映画に現代的なテーマを取り込むことを重視する。また、現在の映画市場の主要な観客層と年齢的にも近いため、若手監督は観客や市場の嗜好性や動向をより理解している。さらに、若手監督たちは現実の生活の中で社会的に注目度が高い題材や話題、国内外の最新の映画コンセプトや技術に対してより敏感であり、これらが映画と観客の間により親密な関係を形成させることとなった。
実際、これらの若手監督たちは製作の主体として現実的な題材をテーマにした小・中規模製作の映画ブームを巻き起こし、中国映画の「新潮流」と称された。この過程の中で、現実的な題材をテーマにした小・中規模製作の映画や若手監督の成長は相互に良い結果をもたらし、互いに高めあう関係性となった。
このほか、2013年に上映された国産映画大作では、3D技術を使用する映画がこれまで以上に一般的になり、技術の使用方法もより映画内容に合ったものとして合理的になり、芸術性も高まった。徐克(ツイ・ハーク)監督作、趙又廷(マーク・チャオ)主演の映画「狄仁杰之神都龍王」での水中3D撮影や、劉徳華(アンディ・ラウ)主演の映画「風暴」の中環(セントラル)爆破の3D特撮シーン、彭氏兄弟(彭順 と彭發/パン・ブラザーズ)監督作「逃出生天」での火災の3D特撮シーンなどもすべて世界最新の映画特撮技術を使用している。業界関係者は、マルチスクリーン時代のメディア環境下では、ハリウッドが牽引する新世界映画ブームにおいて、高い科学技術を取り入れた映画製作の傾向はすでに抵抗できない流れとなっていると語る。この傾向を取り入れた2013年の中国映画大作は、世界映画ブームの流れの中で中国映画が今後より発展していく態勢を備えていることや、輝かしい将来性を表している。