カメラで目をスキャンするだけで、その人の身分と証明書の情報が、爪ほどの大きさのチップによって識別される。映画「ミッション・インポッシブル」のハイテク技術が、武漢市で実用化されようとしている。独自の知的財産権を持つ中国初の虹彩認証チップが光谷ソフトウェアパークで誕生し、間もなく生産開始される。荆楚網が伝えた。
同チップの開発者である、武漢虹識科技有限公司の創設者の易開軍氏は、「虹彩は黒色の瞳孔と白色の強膜の間にある輪の形をした部分で、細い線、冠状、窪みなどの複雑かつ細かい特徴があり、一人一人の身分を認証できる。現時点ですでに正確度が最も高い生物認証技術とされており、指紋認証を3レベル上回る」と説明した。
虹彩認証技術は1987年に、ハーバード大学の2名の眼科医によって発見された。同技術は昨年、米国で大規模普及が認められ、空港、港湾、政府、牢獄、金融などの機構で用いられている。しかしこの虹彩認証設備には、体積が大きく高額という欠点がある。
易氏は、「虹彩情報のアルゴリズムは極めて複雑で、いかに既存のアルゴリズムを革新し、これを爪のサイズのチップに集積するかという問題に4年間取り組んだ」と述べたほか、「光谷(オプティカル・バレー)にはチップ製造企業の武漢新芯、ビッグデータ活用の達夢データベースがある。未来の虹彩技術はレノボ製のスマートフォンに搭載することが可能で、一本の産業チェーンを形成することになる。独自の知的財産権を持つため、虹彩認証チップが国防、公安、空港、金融などで全面的に利用されるようになった場合、設備コストを大幅に削減できる」と指摘した。
近い将来、人々は旅客機の搭乗、ドアロック解除、カード利用の際に「目配せ」をするだけで済むようになる。虹彩パスポート、虹彩身分証が誕生する可能性もある。オンライン決済にとっても、「目配せ」は安全性が高い。易氏は、「子供たちの虹彩記録を作成し、誘拐を防ぎたい。国家の安全を脅かしているテロリストは、どこにも身を隠せないようになる。マレーシア航空の事件で問題となったパスポート偽造も効果的に防止される。指紋は偽物を作れるが、虹彩が嘘をつく可能性はない」と最終的な目標について語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月18日