武漢市の大学生の劉さん(19)は、体育の授業でランニング中に気を失い、呼吸も心拍も止まってしまった。幸いにして、人命救助が休むことなく続けられた。体育の教員は真っ先に彼女に心臓マッサージをし、学生に電話で救急車を呼ぶように指示し、もう一人の学生に保健室の教員を呼びに行かせた。病院に運ばれるまでも、心臓マッサージは続けられた。20分後、彼女の心臓が動き出した。医師は、「ショックで倒れた場合、4分内の貴重な時間に救助を実施しなければならず、一人目の目撃者が極めて重要になる。これは私が今まで見た中で、最も完璧な、連携がスムーズな心肺機能回復措置であった」と語った。南京日報が伝えた。
医師の話によると、劉さんは幸運であったと言える。それではなぜ、これほど適切に救助されるケースが少ないのだろうか?人命救助の知識と技能を持つ人が増えれば、家族や友人がショック死した時の悲しみ、迅速に救助できなかった後悔を減らすことができるだろう。
2011年、上海に一時帰国した日本留学中の中国人留学生が空港で母親をナイフで刺すという事件があった。幸い、通りすがりのスロバキア人が直ちに負傷した母親を救助し、スカーフを解き傷口を押さえ、一命を取り留めることができた。この外国人がその場にいなかったならば、近くで適切な救助措置を講じられる人はいただろうかという問題が、その後社会で議論されることになった。刃物で刺されるという「意外」な事件の他にも、私たちの身近な所には多くの「アクシデント」がある(脳梗塞、心筋梗塞、熱射病など)。これがひとたび生じれば、人命救助は死神との短距離走になる。自分の周りでこのようなことが起きた場合、救急車を呼ぶ他に、きちんとした救命処置を実施できるだろうか?誰かが溺れたり、ガス中毒で窒息した場合、人工呼吸をしなければならないことは誰もが知っているが、その正確な方法を知っている人はどれほどいるだろうか?
患者が突然発症した場合、もしくは誰かが負傷した場合、直ちに救助する必要があることはよく知られているが、救助法を知らず為す術を失う場合が多い。これは人命救助に関する知識が普及していないためで、社会全体の問題と言わざるをえない。当事者の家族・友人であった場合、永遠に癒えることのない傷を負うだろう。「中華人民共和国赤十字会法」は中国赤十字会に対して、人命救助の知識の普及、緊急救助の研修の実施、市民による現場救助活動の実施の職責を与えている。しかし多くの人は、現地の赤十字会に連絡すれば、無料で緊急救助の知識に関する研修を受けられることを知らない。全国赤十字会は毎年300万人以上の救護員に研修を実施しているが、中国赤十字会常務副会長の趙白鴿氏は、「中国の人命救助の知識の普及率は約1%のみで、先進国の30−50%の間に大きな開きがある」と指摘した。中国赤十字会総会が開発した人命救助携帯アプリが、昨年11月にリリースされた。これにより人命救助が気軽に学べるようになったが、仮にこのアプリをダウンロードしていたとしても、実際に何かがあった時にこれを使いながらでは間に合わないだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年6月6日