現在、中国の周辺国と一部先進国の一部地域では人民元が流通しており、第1段階はすでに到来している。報告によると、人民元は現在、世界で7番目の決済通貨であり、取引通貨上位10種類に入っており、第2段階と第3段階に入りつつあるところだ。別の報道によると、現在の世界では40カ国以上の中央銀行が人民元投資を行っており、投資の意志があるところもたくさんある。東南アジア、東欧、中南米、アフリカの一部の国は、人民元を公式準備通貨にすることを検討中だ。このように、第4段階と第5段階の兆しも見えている。
人民元国際化の未来について、市場はおおむね好感触だ。中国銀行のグローバル顧客調査の結果によると、顧客の50%以上が今後5年で国境を越えた人民元建て決済が全体に占める割合は20-30%に達するとの見方を示し、海外の顧客の61%が国境を越えた貿易で人民元を使用する、または人民元建て決済の割合をさらに引き上げる予定であると回答した。
▽順調な人民元が信頼を獲得
周知のように、人民元の国際化が実現すれば中国経済の発展にとってさまざまなメリットがある。たとえば世界経済に対する中国の影響力の強化、国際貿易における為替リスクの軽減、国際通貨発行益(シニョリッジ)の獲得などがある。ただ人民元の海外進出がすでに、またこれからも長期にわたり、国際金融の安定にプラスであることはあまり知られていない。
田董事長は、「人民元は過去10数年の間に世界の金融の安定を維持する重要なパワーになり、このことは次の2つの点に顕著に現れている」として、「第一に、人民元は金融危機の「安定装置」になった。97年のアジア金融危機の時、東南アジア各国の金融は打撃を受け、レートが相次いで値下がりした。中国は人民元を値下がりさせないことを対外的に、公開の場で承諾し、これにより各国は危機のダメージへの対処に向けて信頼感を高めることができた。08年のグローバル金融危機の時は、人民元は値下がりしなかっただけでなく、一定の上昇傾向さえ維持し、世界経済の安定・発展に対して重要な責任を果たした。第二に、人民元は世界のレート変動リスクの「避難港」になった。中国と世界各国との経済貿易往来がますます密接になるのにともない、世界には人民元による建値・決済、為替変動リスクの回避といった幅広い需要が生まれた」と述べた。