日本の電子製品大手のソニーは、さきにパーソナルコンピューター(PC)事業から撤退したのに続き、このほど電子書籍リーダーの販売市場から撤退し、新製品の開発は行わないことを明らかにした。業務の再編や戦略的モデル転換の必要に迫られてのことという。電子書籍リーダーを開発したソニーの今回の撤退劇により、電子書籍リーダー市場全体がスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットコンピューターといった新メディアの攻撃を受け、縮小する苦境にあることが浮かび上がった。「北京商報」が伝えた。
ソニーが電子書籍リーダー第1号機をうち出したのは2006年のことで、アマゾンのキンドル(2007年11月19日発売)よりもずっと早かった。12年には米国市場で「PRS-T1」を発売。翌年には「PRS-T3」を発売したが、同機は欧州市場のみの販売で、北米市場には上陸しなかった。
実際、ソニーの電子書籍分野からの撤退には兆しがあった。今年初め、ソニーは米国やカナダなどの電子書店を閉鎖し、北米地区における電子書籍業務をカナダのコボ社に譲渡した。5月には欧州とオーストラリアの電子書籍業務もコボ社に譲渡した。
ソニーが電子書籍市場から徐々に撤退しているのは、アマゾンという強力なライバルとの競争の結果であり、特にキンドル系の電子書籍リーダーが採用する「低価格+定額コンテンツサービス」モデルとの競争の結果、ソニーの高額のリーダーに大きな圧力がかかったことが原因だ。また電子書籍リーダーの業態全体で市場発展の可能性が縮小したことがある。モバイルインターネットという大波の襲来、スマートフォンやタブレットコンピューターなどの新メディアの普及拡大、およびハードウエアのバージョンアップにともなう大量のアプリケーションの登場が、単一の機能しかもたない電子書籍リーダーの役目を奪うことになった。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年8月7日