第2次世界大戦のA級戦犯がまつられる靖国神社に15日午前、日本の新藤義孝総務相と古屋圭司国家公安委員長が参拝した。同日午後には、稲田朋美行政改革担当相も、自民党議員からなる「伝統と創造の会」の会長として参拝した。安倍晋三首相は同日午前、萩生田光一自民党総裁特別補佐を通じて、自民党総裁名義で靖国神社に玉串料を奉納した。中国社会科学院日本研究所の日本問題専門家・趙剛氏は人民網記者の取材に対し、今年の8月15日における日本の政界の様々な動きについて、以下のような分析を示した。
▽安倍首相の不参拝は他国の批判を意識したか
趙氏によると、毎年8月15日には、何人かの日本の政治家が靖国神社を参拝することが「恒例」となっている。安倍晋三首相は昨年末に靖国神社を参拝し、中国や韓国などのアジア各国の強い反対を受け、米政府もこれに対して苦言を呈した。今年の8月15日に安倍首相は靖国神社に行かず、自民党総裁の名義で靖国神社に玉串料を奉納するにとどめたことからは、安倍首相が他国の批判をやはり意識していることがうかがえる。
また安倍首相の玉串料奉納が午前という早い時間だったことは、「この日は参拝しない」というシグナルを出すための安倍首相の配慮とも考えられる。趙氏によると、安倍首相は、中韓などの隣国と関係を緩和する意志を持っている。
▽靖国神社は依然として軍国主義の象徴である
毎年8月15日になると、「朝日新聞」「読売新聞」「日本経済新聞」「毎日新聞」「産経新聞」「東京新聞」などの日本の各紙が敗戦にちなんだ社説を発表する。今年15日の各紙社説は産経新聞を除いていずれも、過去の歴史から教訓を汲み取り、平和主義の道を歩み続けなければならないとの論調だった。趙氏によると、日本のメインストリームは依然として平和を求める声が強い。一方、産経新聞の社説は、靖国神社はすでに「軍国主義の象徴」ではないとし、参拝には批判の余地はないと強調した。こうした右翼勢力の主張について、趙氏は、言葉の表面を透かして、靖国神社の核心が変化したかを見定めなければならないと指摘する。靖国神社の遊就館の展示品や説明は変わっていない。8月15日にはこれまで通り、レトロな軍服に身を包んだ右翼分子が靖国神社に乗り込み、保守的なスローガンの書かれた幟(のぼり)を掲げ、皇国史観を訴えた。靖国神社の本質は何ら変わっていない。
趙氏によると、靖国神社を参拝した日本の政治家が平和を誓ったとしても、その言葉の裏側に何が隠されているのかを考える必要がある。
日本の神社は普通、鎮魂をその働きとしている。だが靖国神社には「顕彰」というもう一つの働きがある。顕彰されているのは、神社に合祀された戦犯の生前の「功績」だ。趙氏は、第2次世界大戦の被侵略国の国民である中国人は、靖国神社で戦争犯罪者の「功績」が「顕彰」されることを受け入れるべきではないと主張する。政治家がこのような場所で平和を祈ることは、言葉と行動の矛盾ではないだろうか。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月16日