人気ドラマ「リーガル・ハイ」は、「自虐的」や「反省」の気持ちがない人なら、見てもおもしろくないだろう。記録的な視聴率をたたき出した「半沢直樹」も、「ジレンマ」が中心テーマ。単に努力は報われるというのではなく、生き残りをかけながらも、不公正な事を無視できない、職場での「ジレンマ」を描いていた。これには、上海を舞台に主人公が外資系企業で出世していく中国ドラマ「ドゥ・ララの昇進物語」とは本質的な違いがある。つまり、日本ドラマは現在、人の内に秘める善と悪の対立といった、ダークな部分をテーマにしており、単に見て楽しいというものではなくなっているのだ。
このようなテーマは、中国ではまだ一般化していない。中国の視聴者が現在好むのは、家族の中や恋愛中のカップルの間に起こるちょっとしたトラブルなど、普通の生活と関係のあることをテーマにしたドラマだ。
これは、中国の視聴者のレベルが低いと言っているのではない。中国では、近年になって衣食住といった基本的な物を国民が満足に得られるようになり、まだ「反省」や「ジレンマ」ではなく、「楽しみたい」という思考が強いからだ。これまで、苦労を経験してきたため、これはいたって正常なことだろう。そのため、中国人にとって身近に感じることのできる韓国ドラマのほうが人気となる。韓国ドラマの全体的な規模や制作上の理念は、ちょうど中国と日本の中間に位置している。
日本ドラマは少しずつ進化している一方、中国の視聴者にも変化が生じている。一昔前の日本ドラマは、現在の日本ドラマと異なる。昔の日本ドラマは現在の日本ドラマより伝統的な思考だった。そして、昔の日本ドラマが好きだった中国の視聴者は少しずつ減り、新たな視聴者は主に都市の新たに増加した人口で、資本主義国のジレンマなどをテーマにしたダークなドラマは受けない。
米国ドラマに関しては、自分を高めて他を軽視するという思考が、中国人の頭の中で働いていると感じる。例えていうと、イタリアの高級車「ランボルギーニ」についてよく知っているからと言って、中国国産車「比亜迪(BYD)」に乗っている人を軽視しているものの、実際には自分は自転車を買うお金もない人のようだ。
米国ドラマは世界最高レベルのドラマというのが世界共通の見方だ。そのため、米国ドラマを見れば、日本ドラマを見る必要はないという気持ちになる。日本ドラマに批判的な人が多いが、実際には見たことさえないのだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年9月4日