2014年12月4日  
 

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人民網日本語版

書評『習近平氏、国家統治を語る』 (2)

――ヘルムート・シュミット(元ドイツ首相)

 2014年12月04日10:19

改革開放以来35年間の急速な発展を経て、中国の経済規模は今日すでに世界第2位となり、あと何年もたたずに第1位になる見込みである。こう予測するのは国家と上層部が比較的安定しているからである。習近平を中核とする中国の新たな指導者層はこのような発展モデルを確信しており、同時に、経済の急速な発展がもたらす煩雑で重要で膨大な任務を処理しなければならない。2020年には都市・農村の一人当たりの収入を2010年比で倍増させ、引き続き中国の特色ある社会主義を完全なものとし、発展させ、国家ガバナンス体系とガバナンス能力の現代化を推進し、中国の長期的発展のために堅固な基礎を打ち固めなければならない。新しいタイプの工業化、情報化、都市化、農業の現代化の共同発展を推し進め、同時に投資と消費を喚起し、金融業も改革しなければならない。習近平がとりわけ重視しているのは、腐敗、環境汚染、違法な土地の占有、労使紛争、食品の安全欠如などにより引き起こされる問題である。

大都市のスモッグに対する処置は重要な課題だ。二酸化炭素のスモッグをもたらす原因は複雑に絡み合っており、複数の対策措置を同時に、大規模に投入する必要があり、一般庶民へのエネルギー供給や彼らの収入に影響を与え、また国家の気候政策にも影響してくる。地球の温暖化阻止の掛け声を前にして、中国は傍観者になり続けることはできない。

絶えず強まる高齢化も中国が直面するもう一つの深刻な問題である。高齢化は都市化にともない急激に進行しており、全国的な老後保障がまったなしとなっている。同時に、中国では一人っ子政策が見直しを迫られている。中国の戸籍制度も早急に調整を要する。

今日中国を訪れる人は、中国が同時に多くの仕事を推進していることに気づくだろう。農民労働者の権利はより保障されるようになり、より大きな高収益の農業企業が現れた。もし40年前の毛沢東時代を経験してきて、あの当時の状況と今日の中国とを比較したなら、今日の中国公民の発展空間、自由、さまざまな権利など、すべてが尋常ならぬ広がりを獲得したことが分かるだろう。

疑いもなく、中国は伝統と現代化の調和ある共存を実現した。2500年にわたり、中国人は常に儒教の理性倫理学を信奉してきた。20世紀初頭までの少なくとも1000年以上のあいだ、中国は封建官僚に統治され、儒教思想は中国の指導的思想であった。中国共産党は1949年に政治を執るようになると、まず儒教思想を排除した。しかし、今日の中国では、事実上中国人とは切っても切れない儒教思想がまさに回帰しつつある。習近平主席の儒教思想についての説明は、中国の日増しに強まる文化的自信をはっきりと示している。中国のような大きな国では、国家の凝集力が非常に重要である。ただし、民族主義に頼ればかえってその害をこうむるだろう。なぜなら、それは不本意な危機、甚だしきは戦争を引き起こす可能性があるからだ。そして、悠久の歴史をもち内容豊かな中華文明のほうが、より中国人の自信と自覚を強めることができるからだ。実際、中国5000年の文化の中には帝国主義的発想はいささかも見出すことができない。中国はずっと和を貴しとしてきた。一例をあげれば、中国の歴史に記載のある15世紀の航海家鄭和将軍は、海上の優勢を握っていたにもかかわらず、武力を濫用することはなかった。


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