アジアの2大エコノミーである中国と日本は、経済的に切っても切り離せない関係にある。海外メディアが専門家の話を紹介しながら分析したところによると、日本の安倍晋三首相がうち出した経済政策「アベノミクス」の効果は限定的で、構造改革を推進する中国への輸出を拡大するしか、日本が経済復興を遂げるチャンスはないという。環球網が伝えた。
シンガポール紙「聯合早報」の3日付報道によると、米国エール大学シニア研究員のスティーブン・ローチ氏は日本の共同通信社の取材に答える中で、「アベノミクスの基本は大胆な量的・質的金融緩和政策だ。経済成長戦略としてみると、これは実際には『机上の空論』だ。金融緩和政策は大胆であればあるほど市場に歓迎されるが、第3の矢である構造改革への意欲を失わせることになる」と述べた。
ローチ氏は、「経済成長を実現させるにはより実際的な戦略が必要だ。アベノミクスはもとより必要な戦略ではあるが、日本が『失われた10年』を取り戻すには不十分だ。金融緩和が経済成長をもたらすということは、どの国でも考えられないことだ。考え方を転換させ、新たな成長の実現に向けて、資本をどこに注入するかを考える必要がある」と話す。
またローチ氏は、「日本にとって最も重大な課題は労働力だ。現在は高齢化と人口減少の問題に直面している。移民政策を調整して海外から新たな労働力を呼び込む必要があり、女性の社会進出率を高める必要がある。人口の減少は個人消費に依存する経済にも影響を及ぼすので、日本は積極的に外需を拡大しなければならない」と指摘する。
ローチ氏は中国について、「中国は今、輸出主導型から内需拡大型への(経済成長)モデル転換を実現しようと努力しており、今後は耐久消費財やサービスなどの分野で大きな市場が形成されることになる。2025年までに、サービス業の規模は現在よりも12兆ドル(1ドルは約119.9円)増加する見込みで、このうち4兆~6兆ドルは外資に開放されたものになるとみられる。これは実に大きな市場だ。日本にはここに加わるより他に選択肢はない」と話す。
日本が消費税率の引き上げを先送りしたことの評価について、ローチ氏は、「経済が復興して税率引き上げが受け入れられる水準になるのを待つべきだ。巨額の財政赤字に直面しながら、日本の中央銀行(日本銀行)はゼロ金利政策を維持して国債を買い続けているが、こうした状態が続くわけがない。中央銀行に圧力をかけて経済活動を主導させればさせるほど、日本の指導者が犯すリスクは大きくなる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年12月4日