中国の王毅・外交部長(外相)と高虎城・商務部長(商務相)はこのほど、別々の発言で、中国とロシアが通貨スワップ制度を拡大し、人民元による貿易決済を増やす方針を明らかにした。ロシアのルーブルが大きく変動する中、中国のロシア支援策の一つとなる。中国高官の発言は海外メディアの注目を集め、イタルタス通信や「イズベスチヤ」など20社近くのロシアの主流メディアがすぐにこれを報道した。中国貿易報が伝えた。
ロシアメディアは、ロシア経済の減退をとどめる自信を中国高官の発言から引き出そうとしているようだ。イタルタス通信は22日の報道で、欧米など西側諸国が圧力を強める中、苦境にあるロシアにとっては、世界第2のエコノミーである中国の支援は極めて重要だとの見方を示した。
ロイター社の22日の報道によると、ロシアは西側の制裁と原油価格下落という二重の打撃に見舞われ、ルーブルの対ドルレートは年初から44%安となっている。だが高虎城・商務部長は、中国とロシアの今年の貿易目標1000億ドルは実現の見込みで、エネルギーや製造業など大型共同プロジェクトの推進もロシアの金融と経済の情勢によって大きく変わることはないとしている。中国税関のデータによると、1月から11月までの中露貿易額は868億ドルで、昨年同期比6.9%の成長となった。高部長によると、中露貿易での人民元利用は増えている。この変化はすでに何年も続いていたものだが、ロシアへの西側の制裁でさらに目立ちつつある。
復旦大学国際問題研究院の宋国友教授によると、中露貿易の決済は、ドルと人民元、ルーブルが中心で、そのうち最も多いのはドル。中露両国の自国通貨による貿易決済の推進は、為替リスクの回避を可能とする。「この措置は一定程度、中国のロシアに対する援助と捉えることができる。現在、ロシアは同じ商品を買うのにより多くの金を払わなければならないが、ドルを回避して人民元で直接計算すれば、ロシアの貿易商にとっては現在の為替水準における実質コストを下げることが可能となる」。宋教授によると、中露間にはこれまでも、自国通貨での決済の推進に関する協議はあったが、政府と民間のレベルでの意向はそれほど強くなかった。今回のルーブルの急激な下落で、双方は、自国通貨での決済の緊急性を認識したものと見られる。
中国企業がいかに為替リスクを避けるべきかについて、宋教授は、最も重要なのは自国通貨による決済を推進することだが、為替リスクに対する警戒を高め、企業とりわけ中小企業の為替リスクに対する意識を高めることも重要だと指摘する。ロシアに野菜や果物を輸出している大型企業の責任者によると、最も効果的なのは人民元を使って即日決済することだという。同社は、ロシアへの野菜や果物の輸出に主に人民元を使っている。野菜や果物は需要が安定しているため、ルーブル下落による影響はそれほど大きくない。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年12月26日