米国の量的緩和終了、中国人民銀行(中央銀行)の利下げなど、国内外の要素が重なったことで、人民元相場が下落することが予想されていた。しかし、最近の状況を見ると、下落するどころか上昇している。人民元が短期間で急上昇した原因について、専門家は「まず、少し前のドル指数の下落を受けて、人民元の対ドル基準値が上昇した。次に、国際資本が中国市場を好感し、資本流入が増えた。中国人民銀行が為替介入を減らすに伴い、人民元相場は将来、基本的な安定を保ちつつ、一定の範囲内で変動し、振れ幅も拡大する可能性があるが、一方的な上昇や下落はない」と指摘している。人民日報海外版が伝えた。
▽外部資本の影響で相場が上昇
中国人民銀行の利下げ発表後、人民元相場は予想と違って下落しなかった。中国外国為替取引センターのデータによると、11月27日、人民元の対米ドルレート基準値は1ドル=6.1320元で、前の取引日から34ベーシスポイント上昇、3月13日以来の高値となった。先週、人民元の対米ドル直物為替レートは一時、200ベーシスポイント上昇した。
米国の好調な経済指標の後押しを受け、12月2日、米ドルは再び力強く上昇した。人民元の対米ドルレート基準値は小幅の下落となった。中国外国為替取引センターの最新データによると、12月4日、人民元の対米ドルレート基準値は1ドル=6.1411となり、前取引日より35ベーシスポイント下落した。
曁南大学国際商学院の孫華妤副院長は本紙の取材に対し、「少し前の人民元の上昇は、資本の流入によるもの。最近中国の株式市場は堅調に推移しており、上海と香港の株式市場相互乗り入れ制度も始まり、国際資本が中国市場を好感するようになった。また、融資難、融資コストの高さにより、一部の中国企業は様々な手段で海外から融資を受けている。これらの要素によって外貨が流入し、人民元の上昇を招いた」と指摘した。
孫副院長はさらに、「近頃の対外貿易の好転も、人民元の上昇を促している。また、利下げ後、人民元の下落によって大規模な資本流出が起きる恐れがあるため、人民銀行は人民元相場への介入を減らして為替上昇を容認し、流出を食い止める可能性がある」と分析した。
このほか、少し前に米国の経済指標が振るわず、米ドル上昇の勢いが弱まったことを受け、人民元の対米ドルレート基準値が上昇したと見る人もいる。