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日本人のパリ大規模デモ体験記 風刺画襲撃にNON! (4)

人民網日本語版 2015年01月15日10:56

▽共存は可能か

編集部襲撃は、イスラム教過激派が、ムハンマドを題材とした風刺画を掲載した雑誌社を目の敵にして行ったものだった。さらにその後のスーパーでの人質立てこもりは、ユダヤ系の店舗を故意にねらったものだった。オランド大統領は襲撃直後から、フランスはこの野蛮に対して、イスラム教徒を含めて一丸となって戦わなければならないと宣言した。「共和国の行進」と名付けられた今回のデモは、宗教や人種の対立を超え、「自由・平等・友愛」という共和国の理念の下に集まろうという運動だった。

 

フランスでは移民受け入れが早くから始まっていたが、二世の社会的統合が問題となっている。本国での苦境を脱してやって来た一世は、生活が苦しくとも、フランスで職を得て生活することにある程度満足する。だがフランスで生まれ、フランスで育った二世は、フランス人とされながらもフランス社会に溶け込めないストレスの中にある。郊外のスラムで育ち、教育水準も低く、社会的ネットワークが乏しい。同じ内容の履歴書を送っても、アラブ人の名前よりもフランス人の名前の方が有利であるという実験結果もある。フランス社会での成功の道を閉ざされ、行き場を失った若者が、絶対的な方向を与えてくれる原理主義に走るという構造がそこにはある。

フランスでは昨年、「Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu?」(神様にいったい何をしたって言うんだ?)というコメディ映画が大ヒットした。保守的なフランス人家庭の4人の娘のうち3人が中国系、アラブ系、ユダヤ系と結婚し、最後の1人もアフリカ系黒人と結婚することになって起こるドタバタを描いた映画だった。娘の意志を尊重しようとしながらも、偏見を隠すのに必死な両親を、観客は腹の底から笑った。この映画が1200万人を超える観客を動員したことは、変わることを迫られ、変わることを受け入れようとする自己認識の象徴とも見える。

笑いを圧殺しようとする力を、フランスは「笑いは死なない」と高らかに笑い飛ばした。今回の悲劇を経たフランスがいかなる道を踏み出していくのか。テロ事件が一段落した今、ますます目が離せないと感じている。(増田啓)


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