この面で日本に最も満足な回答を与えるとしたら、「銀魂」などの日本の熱血アニメがあげられる。中国で圧倒的知名度を誇る日本の国民的3大アニメである「NARUTO―ナルト―」「ワンピース」「BLEACH-ブリーチ-」ではなく、「銀魂」を例にあげるのは、典型的ではない典型性を備えており、より説得力を持っているからだ。「銀魂」は、SF時代劇で、熱血歴史ギャグアニメであり、「ハチャメチャなギャグ+熱血バトル+シリアスな時代劇」が主軸となっている。そのスタイルやストーリー、キャラクター設定などはすべて他の熱血もののアニメ・漫画とは大きく異なる。このため、「銀魂」は、日本熱血アニメの異端であり、非典型的な存在だ。しかし、作品には日本の核心的価値観の「脱構築」と「再構築」が大量に含まれており、非常に典型的な要素を持っている。しかも、非常に賢い、他の典型性とは異なる熱血アニメの手法をとっている。おそらく、この非典型性ゆえに、「銀魂」の海外輸出が非常に好調を示しているのだろう。
「銀魂」は全編を通してパロディの手法が用いられている。江戸時代に襲来した黒船のペリーを異星人に変えるなど、幕末から明治維新の時代に生きていた歴史上の人物をパロディ化している。異星人の襲来によって現代化のプロセスが加速化されるため、作品には江戸時代の最も顕著な時代的特徴のほか、テレビ、コンピューター、航空機などの現代の技術を駆使した産物も頻繁に登場する。これは、江戸時代のパロディであるだけでなく、同時に現代社会のパロディでもあるのだ。しかし、江戸時代の空にUFOを見た時、日本の武士の隣に大手を振って歩く石瀬仁の姿を見た時に、我々はこの世界が幕末の日本なのか、それとも現代の日本なのか、あるいは未来なのかわからなくなる。「銀魂」は時空を超えたパラレルワールドのスタイルで、同時代の人物や事件、作品の引用に対して、パロディや揶揄(やゆ)あるいはギャグといったゲーム的な手段で自己を脈絡のない高みの位置に押し上げていく。しかし、非論理的で凡庸に見える作品の中に、非常に論理的でシリアスなものが含まれている。それが、武士道だ。「日本の核心的価値観の魂」と呼ばれるものだ。