アニメ「戚継光」
出版界では数年前から、民国時代の子供の教材が流行している。確かに当時の教材の一部はわかりやすく、子供に愛されそうな要素もある。だが資料をあたると、これらの教材には当時、幼稚で内容がないとの批判もあり、現在のように手放しで評価されていたわけではないことがわかる。さて現在、子供にとっては「動く教材」の役割も果たしているのがテレビで流れるアニメである。その内容をいかに評価するか。
北京テレビ開催のあるシンポジウムで、「アニメは歴史をおろそかにしすぎだ」との問題を指摘した教授がいた。例えば、人気アニメ「NARUTO-ナルト-」や「ONE PIECE」は、どの人物も歴史的な背景が不明確で、時代設定自体がない。歴史的な背景のあるアニメでも、他国が舞台では仕方がない。幕府や江戸時代の文化についてならよく話す子供も、中華の伝統や流儀となると黙ってしまい、親しみも覚えていない様子だ。
この教授の指摘はことさら大げさとは言えない。そうした例があるのは確かだ。北京テレビは、明代の武将・戚継光を題材としたアニメ「戚継光」の制作前、「戚継光を知っていますか」と聞く調査を行った。結果は、「銃口を塞いだ人」(朝鮮戦争の烈士・黄継光との混同)、「トーチカを爆破した人」(中国の解放戦争の烈士・董存瑞との混同)、「台湾を奪回した人」(明代の鄭成功との混同)などの間違いが続出した。