中国中央テレビ(CCTV)のニュース報道によると、中国人民銀行(中央銀行)は4日、今月5日から金融機関の人民元建て預金準備率を0.5%引き下げることを明らかにした。一部の金融機関を対象とした準備率の引き下げも行い、中国農業発展銀行に対する単独の引き下げも行うという。
▽準備率引き下げは経済の安定成長が狙い
専門家は、「人民銀が今のタイミングに預金準備率を引き下げるのは、現在の経済運営が強い下振れ圧力に直面し、安定的成長しか選択肢がないことを反映している。準備率引き下げによって流動性を開放することは、経済の安定的成長にとってプラスになる」と分析する。
専門家によると、今回は一律に準備率を0.5%引き下げることで5千億元(1元は約18.7円)の流動性が開放され、これにターゲットを絞った引き下げで中小金融機関と農業発展銀行の流動性約1千億元を開放するため、今回の引き下げにより金融機関が貸出に回せる資金が6千億元増えることになる。
中国銀行国際金融研究所の宗良副所長は、「日本、カナダ、ユーロ圏、オーストラリアで相次いで利下げや量的緩和措置が取られたことを背景に、中国が適切かつ柔軟な対応策を採るのは、合理的な調整だといえる。年末から年初にかけての準備率引き下げを選択したことは、市場に対し、2015年は全体として資金をめぐる局面は緩やかなものになるというシグナルを発したことに他ならない。企業の資金調達コストは引き続き低下して、企業や個人の投資と消費を奨励することになるとみられる」と話す。
興業銀行の魯政委チーフエコノミストは、「中国が公式に発表した2月の製造業購買担当者指数(PMI)が50ポイントを下回ったことが、準備率引き下げを直接促した。人民銀は政策を通じて企業の資金調達問題を緩和し、経済の安定的成長を促進したい考えだ」と話す。
▽人民銀の準備率引き下げペースは市場の予想以上