春節(旧正月、今年は2月19日)の前後に日本を訪れた中国人観光客がトイレの便座や炊飯器を争うように購入したというニュースに、思いがけなくも注目が集まっている。世界の工場である中国が、なぜ便座など小さな製品さえうまく作れないのだろうかという疑問の声も上がっている。日本での購入の背景には中国製造業の悲しみがあるという人もいる。メードインチャイナはコピーする能力は高いが、新しいものを作り出す能力は弱いというのだ。またこうした便座や炊飯器などは実は中国の工場から出荷されたものであり、メードインチャイナの能力はそれほど劣っていないと反論する人もいる。「経済参考報」が伝えた。
新華社の報道によると、海外でしばしば学術活動に参加する学者は、ここ最近、海外市場に次のような変化が起きていることに気付いた。靴、衣類、玩具などの低付加価値商品ではメードインチャイナが少なくなり、ベトナムやインドネシアなど東南アジア諸国製品が増えている。また国内の一部の有名ブランドを海外の電子製品の店で見かけることが増え、一部の国家指導者がスピーチの中で高速鉄道や原子力発電などの先端設備製造業における中国の成果にたびたび触れるようになったというのだ。
楽観的な見方をする人は、中国経済の発展水準は中の上くらいのレベルに達し、低コストで競争する時代は過ぎ去ろうとしている。技術のウェイトが大きく付加価値の高い製品はメードインチャイナのこれまでのイメージをどんどん塗り替えているという。
海外で便座を買うことについて、李克強総理は次の2点を強調した。まず開放的な態度で臨むべきであり、貿易障壁には反対する。消費者にはより多くの選択肢を享受する権利があるからだ。次に中国企業はバージョンアップするべきだ。国内に同じような品質の商品があれば、競争力がより高まることになるし、少なくとも消費者は航空券代金を節約できるからだ。
先進国と発展途上国に「前後から挟まれる」という二重の課題に直面して、中国が新たな局面の中で勝利を収めたいなら、大から強への転換を加速させ、イノベーションによって独自のスマート製造技術と製造業バージョンアップの道を形成し、とりわけスマート力をもった製造業技術者を育成することを重視するしかない。
全国人民代表大会の代表も、「メードインチャイナが衰退したとする論調にはそれほど注意を払う必要はない。競争は最終的に実力がものを言うからだ。中国の製造業企業はドイツ企業の堅実な態度や日本企業の精確さを追求する気風を学ぶべきであり、政府も市場の監督管理を強化して、質が高く、サービスが整い、真面目に信頼を追求するブランドが、より多く国内市場に行き渡るようにするべきだ。こうしなければ、消費者がわざわざ遠い外国まで行って便座を買うという現象が減ることはないだろう」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月9日